「LGBTQ+」に関連する用語の一覧です(LGBTQ用語だと誤解されやすい用語も合わせて掲載しています)。随時追加しています。
用語一覧
●アウティング outing 注意!
本人の同意なく、その人の性的指向・恋愛的指向・性同一性を公表すること。問題行為とされる。⇒ 詳細はコチラ:「アウティングとは何ですか?」
●アジェンダー(Aジェンダー)agender 性同一性
ジェンダーがない、もしくは自分にとってのジェンダーの概念を否定するか、意味がないとする人。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●アセクシュアル(アセクシャル)asexual 性的指向
誰にも性的に惹かれない性的指向(無性愛)。総称としても使われる。「Aセクシュアル(Aセクシャル)」と表記する場合もある。⇒ 詳細はコチラ:「アセクシュアルとは何ですか?」
●アブロセクシュアル(アブロセクシャル)abrosexual 性的指向
性的指向が流動的に変化するという性的指向。性的に惹かれる対象となる性別も変化することがある。⇒ 詳細はコチラ:「アブロセクシュアルとは何ですか?」
●アポシセクシュアル(アポシセクシャル)apothisexual 性的指向
性的な嫌悪感があり、他者と性的関係を持たないという性的指向。性嫌悪のあるアセクシュアルと同義。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「アポシセクシュアルとは何ですか?」
●アマトノーマティビティ amatonormativity 恋愛的指向 注意!
人は誰もが恋愛をして伴侶を持つという思い込み。「恋愛伴侶規範」とも呼ばれる。
●アライ ally
性的少数者を積極的に支援する行動をとる人のこと。
●アロジェンダー arogender 性同一性 恋愛的指向
アロマンティックの人々が用いるジェンダー。ジェンダーはあるが恋愛の役割を果たさない。「アロジェンダーの少年」「アロジェンダーの女性」などと用いられる。
●アロシスヘット allocishet 性的指向 恋愛的指向 性同一性
アロセクシュアルかつアロロマンティックで(アセクシュアルやアロマンティックではない)、さらにシスジェンダーかつヘテロセクシュアルの人。マジョリティを意識させるために用いられる。
●アロセクシュアル(アロセクシャル)allosexual 性的指向
誰かに性的に魅力を感じる人。アセクシュアルの真逆で、マジョリティを意識させるために用いられる。略称は「Allo」。⇒ 詳細はコチラ:「アロセクシュアルとは何ですか?」
●アロノーマティビティ allonormativity 性的指向 注意!
人は誰もがアロセクシュアル(性的魅力で他者に惹かれる)だという思い込み。
●アロフラックス aroflux 恋愛的指向
アロマンティックのスペクトラムの中で揺れ動く人。
●アロマアセク aroace 性的指向 恋愛的指向
性的指向がアセクシュアルで、かつ、恋愛的指向がアロマンティックである人。⇒ 詳細はコチラ:「アロマアセクとは何ですか?」
●アロマンティック aromantic 恋愛的指向
誰にも恋愛的に惹かれない恋愛的指向。総称としても使われる。 略称は「Aro」。⇒ 詳細はコチラ:「アロマンティックとは何ですか?」
●アロロマンティック alloromantic 恋愛的指向
誰かに恋愛的に魅力を感じる人。アロマンティックの真逆で、マジョリティを意識させるために用いられる。略称は「Allo」。単に「ロマンティック」と呼ぶこともある。
●アンドロジーン androgyne 性同一性
男性と女性の両方か、その双方のどちらでもないか、その双方の間だと認識するジェンダー。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●アンドロジナス / アンドロジニー androgynous / androgyny
男らしさと女らしさの特徴を併せ持つこと、そのどちらでもない特徴を持つこと、そのあいだの特徴を持つこと。性表現を指す用語で、主にファッションのアイコンやスターである人物に対して使用される。服装や行動など幅広い事柄に応用でき、性同一性を問わずに使用できる。「両性具有」という和訳は現在の意味を考慮すると適切ではない。※「両性具有」の解説も参照
●インターセックス intersex
二元論的・典型的な身体上の性別の特徴を併せ持って生まれた人、もしくはどちらにも当てはまらない特徴を持つ人。「DSD」という医学用語が使われるが、医療化の偏見を避けるために「DSD」の用語の使用を避ける動きもある。性同一性(ジェンダー・アイデンティティ)を意味する用語ではないので注意。
●エース ace 性的指向
アセクシュアルの当事者が使う愛称。アセクシュアルの略語や総称としても用いられる。
●エースフラックス aceflux 性的指向
アセクシュアルのスペクトラムの中で性的指向が揺れ動く人。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「エースフラックスとは何ですか?」
●エーゴセクシュアル(エーゴセクシャル)aegosexual 性的指向
他者に性的に惹かれず性的関係を望まないものの、性的空想やポルノ、自慰などを楽しむことはするという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。「イーゴセクシュアル」と表記する場合もある。⇒ 詳細はコチラ:「エーゴセクシュアルとは何ですか?」
●オートセクシュアル(オートセクシャル)autosexual 性的指向
他者ではなく、自分自身に性的に魅力を感じるという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「オートセクシュアルとは何ですか?」
●カミングアウト comingout
自分の性的指向・恋愛的指向・性同一性を公表すること。⇒ 詳細はコチラ:「カミングアウトすべきですか?」
●キュピオセクシュアル(キュピオセクシャル)cupiosexual 性的指向
他者に性的魅力は感じないものの、他者と性的関係を持つことを望んでいるという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「キュピオセクシュアルとは何ですか?」
●クィア queer 性的指向 恋愛的指向 性同一性
性的少数者全般を指す。元々は「風変わりな・奇妙な」という意味でゲイを侮辱する言葉として使われてきた。しかし、一部の性的少数者が戦略的にあえて自分たちを“クィア”と呼んで権利を主張するなどの運動を起こしたことをきっかけに、肯定的な意味を持つ言葉へと変化した。
●クィア・コーディング queer coding
作品内で性的少数者であると明示的ではなくても、クィアであると解釈できるような様々なサブテキスト要素(コード)を埋め込むこと。
●クィアプラトニック・リレーションシップ queerplatonic relationship
性的でも恋愛的でもない親密で深い関係のこと。友情とは異なる。
●クィア・ベイティング queer-baiting 注意!
性的少数者であるかのように曖昧にほのめかして世間の注目を集める手法。問題行為とされる。一方で、性的指向や性同一性をハッキリさせていない人を攻撃することにも用いられる場合があり、この用語自体の問題点として指摘もされている。
●クィア・リーディング queer reading
異性愛やバイナリーなテクストを分析することで規範的ではない解釈を試みること。クィア理論から生まれた用語で、主に批評で用いられる。
●クエスチョニング questioning 性的指向 恋愛的指向 性同一性
自分の性的指向・恋愛的指向・性同一性が不確かであること。
●グレージェンダー graygender 性同一性
ジェンダーに対する意識が低いか、性同一性や性表現への関心が弱い人。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●グレーセクシュアル(グレーセクシャル)graysexual 性的指向
他者に滅多に性的に惹かれない、ごくわずかな性的魅力しか感じないという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「グレーセクシュアルとは何ですか?」
●グレーロマンティック grayromantic 恋愛的指向
他者に滅多に恋愛的に惹かれない、ごくわずかな恋愛的魅力しか感じないという恋愛的指向。
●クロス・オリエンテーション cross orientation 性的指向 恋愛的指向
性的指向と恋愛的指向が一致しないこと。「mixed orientation」とも呼ばれる。
●クロス・ドレッサー cross-dresser
「transvestite(トランスヴェスタイト)」にとって代わる用語。異性装者のこと。通常は文化的に女性に関連する服、化粧、アクセサリーを時々着用する男性を指すために使用される。トランスジェンダーとは限らず、トランスジェンダーと混同しないように注意。
●クワセクシュアル(クォイセクシュアル)quoisexual 性的指向
何が性的魅力なのかがわからない、もしくは性的指向は自分には有用ではない・関係ない・定義したくないという考えや立場。広義のアセクシュアルに含めることもある。
●クワロマンティック(クォイロマンティック)quoiromantic 恋愛的指向
何が恋愛的魅力なのかがわからない、もしくは恋愛的指向は自分には有用ではない・関係ない・定義したくないという考えや立場。⇒ 詳細はコチラ:「クワロマンティックとは何ですか?」
●ゲイ gay 性的指向 恋愛的指向
男性同士で惹かれる指向(同性愛)。もしくは同性愛全般。また性的少数者全般を指す総称。
●ケイドセクシュアル(ケイドセクシャル)caedsexual 性的指向
過去のトラウマのために現在はアセクシュアルであると感じている人のこと。トラウマ・サバイバーであり、PTSDの状態にある人だけが主に使用できるラベル。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「ケイドセクシュアルとは何ですか?」
●ゲイ・パニック・ディフェンス gay panic defense 性的指向 恋愛的指向 注意!
ゲイに対する暴行や殺人を行った加害者を擁護・弁護するために行われる法的な抗弁の一種。トランスジェンダーが被害者の場合は「トランス・パニック・ディフェンス」という言葉を用いることもある。
●サピオセクシュアル(サピオセクシャル)sapiosexual 性的指向
他者の知性に性的魅力を感じるという性的指向。 広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「サピオセクシュアルとは何ですか?」
●サフィック sapphic 性的指向
女性同士で惹かれる性的指向。ただし、この用語はレズビアンだけでなく、バイセクシュアル、パンセクシュアル、その他の性的指向も含めた「広い意味で女性同士で惹かれる性的指向」を持つ女性たちの連帯を意味する言葉として用いられる。
●ジェンダー gender 性同一性
人間の生理学的“性別”を超えて自己理解と自己認識に基づき「自分は何者なのか」を思考して見いだされた性別。性的役割など社会的な期待や規範に紐づく。※「性別」の解説も参照
●ジェンダークィア genderqueer 性同一性
ジェンダーが二元論的な概念の外側か、超越したところに存在する人。
●ジェンダー・クリティカル gender critical 性同一性 注意!
トランスジェンダー差別主義者が自らの信念を表現するために用いる用語。トランスジェンダーに対する差別的な意見や主張が多分に含まれる。※「トランスジェンダリズム」「TERF」の解説も参照
●ジェンダー・ダイバース gender diverse 性同一性
二元論的な規範と違うかたちで性同一性を持ったり、ジェンダー表現をする人を指す総称。トランスジェンダーやノンバイナリーというラベルを用いるとは限らない。世界にはトランスジェンダーやノンバイナリーという言葉だけは包括しきれない多様な性別にまつわるアイデンティティがあり、それらを総称するために用いられる。「ジェンダー・ノンコンフォーミング」や「ジェンダー・バリアント」と意味は同じ。
●ジェンダー・ニュートラル gender neutral 性同一性
中立的なジェンダーを持っている人。二元論的な男女の間か、男女どちらも関係ないと感じる。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●ジェンダー・ノンコンフォーミング gender nonconforming 性同一性
「ジェンダー・ダイバース」と意味は同じ。※「ジェンダー・ダイバース」の解説も参照
●ジェンダー・バリアント gender variant 性同一性
「ジェンダー・ダイバース」と意味は同じ。※「ジェンダー・ダイバース」の解説も参照
●ジェンダーフラックス genderflux 性同一性
ジェンダーに関する経験が激しく変化する人。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●ジェンダーフルイド genderfluid 性同一性
変化するジェンダーを持っている人。 広義のノンバイナリーに含めることもある。
●ジェンダーボイド gendervoid 性同一性
ジェンダーを経験できない空虚な場所があるように感じる人。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●ジェンダーレス genderless 注意!
日本ではほぼ和製英語化しており、「性別を気にしない」くらいの軽いニュアンスで使われる。性的指向や性同一性とは関係ない言葉であり、性的少数者の中にはこの言葉も嫌う人も少なくないので注意。
●シスジェンダー cisgender 性同一性
出生時に決められた性別と、自分が自認するジェンダーが同じであること。トランスジェンダーの真逆で、マジョリティを意識させるために用いられる。略称は「シス」。
●シスノーマティビティ cisnormativity 性同一性 注意!
人は誰もがシスジェンダーだという思い込み。
●シスヘット cishet 性的指向 恋愛的指向 性同一性
シスジェンダーで、かつヘテロセクシュアルの人。マジョリティを意識させるために用いられる。
●ストレート straight 性的指向 恋愛的指向
ヘテロセクシュアルのことだが、同性愛者のコミュニティで使われる俗語。
●ストレートウォッシュ straightwashing 性的指向 恋愛的指向 注意!
映像作品などで本来はマイノリティな性的指向・恋愛的指向のキャラクターを異性愛者として(もしくは異性愛規範に都合がいいように)描写すること。問題行為とされる。
●スプリット・アトラクション・モデル split attraction model(SAM) 性的指向 恋愛的指向
人が経験する魅力をいくつかに分ける考え方。主に性的魅力と恋愛的魅力に分け、性的指向と恋愛的指向を位置づける。⇒ 詳細はコチラ:「スプリット・アトラクション・モデルとは何ですか?」
●性自認 性同一性
「性同一性」と意味は同じ。性の自称という意味ではない。※「性同一性」の解説も参照
●性的指向 sexual orientation 性的指向
どんな性別の相手に性的魅力を感じるか、または感じないかということ。「性的嗜好」「性自認」と表記するのは誤り。マイノリティな性的指向とされるものは、主に異性愛規範によって不平等な構造を抱えている。
●性的嗜好 sexual preference 注意!
性に関する好みをざっくばらんに指す用語。学術的にはほぼ死語。個人の自発的な選択を示唆する表現であるため、同性愛などはもちろん、フェティシズムなどを対象としても使用は推奨されない。「性的指向は先天的で、性的嗜好は後天的」などといった性的指向と対比させる言説の多くは誤りなので注意。
●性転換 注意!
トランスジェンダーに対しては不適切な用語。手術についても「性転換手術」ではなく「性別適合手術」の言葉が望ましい。
●性同一性 gender indentity 性同一性
自分のジェンダーをどう自覚しているかということ。そのまま「ジェンダー・アイデンティティ」ともいう。「性自認」という訳語が使用されることもある。
●性同一性障害 gender indentity disorder(GID)性同一性
過去に用いられた診断名で、現在は「性別不合」という診断名になっている。出生時に決められた性別と体験されたジェンダーが一致せず苦痛や不快感を感じている一部の人を、精神疾患として扱ってきた過去がある。※「性別不合」の解説も参照
●性表現 gender expression 性同一性
自分のジェンダーをどう表現するかということ。服装、髪形、メイク、声、しぐさ、名前、代名詞など。「ジェンダー表現」ともいう。
●性別 sex
女性・男性・インターセックスといった生理学的な違いに関連するもので、出生時の生理学的な特徴に基づいて割り当てられる。英語では「natal sex」とも呼ぶ。「ジェンダー」とは意味が大きく異なるので注意。「生物学的な性別」という言い回しは語弊があるため、「出生時に割り当てられた性別」などと表現するのが望ましい。
●性別移行 gender transition 性同一性
個人が自身の性同一性に合わせようと試みるプロセスのこと。社会的な試みもあれば、医学的な試みもある。服装や髪形を変えたり、名前や代名詞を変えたり、性別適合手術を受けるなど。「性転換」という言い方は誤解を招くので不適切。「ジェンダー・トランジション」もしくは単に「移行(トランジション)」ともいう。
●性別違和 gender dysphoria 性同一性
出生時に決められた性別と性同一性のジェンダーが一致しないことから生じる苦痛や不快感。以前は「性同一性障害(gender identity disorder; GID)」と呼ばれていた。最近は「性別不合(gender incongruence)」と呼ばれたりもする。
●性別多幸感 gender euphoria 性同一性
ジェンダーが肯定されたことで得られる幸福感や心地よさ。
●性別不合 gender incongruence(GI)性同一性
出生時に決められた性別と自身の体感するジェンダーが一致しないことから生じる苦痛や不快感を感じている一部の人のうち、専門機関で医療的なケアを受けるために与えられる診断名。精神疾患ではないので注意。
●セクシュアリティ sexuality 性的指向 恋愛的指向
どのような性的な惹かれる特性があるかということ。性的指向も含めるが、それに限らない広い範囲を示すこともある。
●ゼノジェンダー xenogender 性同一性
一般的なジェンダーとして理解されない概念を用いて創造的に自分のジェンダー・アイデンティティを定める人。「ファーリー」や「therians」との混同に注意。
●デッドネーミング deadnaming 性同一性 注意!
変更以前の出生時の名前や戸籍上の名前を本人の合意なく使うこと。問題行為とされる。
●デミジェンダー demigender 性同一性
あるジェンダーに部分的に結びつきを感じている人。「デミガール」「デミガイ」「デミノンバイナリー」などのラベルがある。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●デミセクシュアル(デミセクシャル)demisexual 性的指向
強い感情的な絆ができた相手に対してのみ性的に惹かれるという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。 ⇒ 詳細はコチラ:「デミセクシュアルとは何ですか?」
●デミロマンティック demiromantic 恋愛的指向
強い感情的な絆ができた相手に対してのみ恋愛的に惹かれるという恋愛的指向。
●ドラァグクイーン drag queen
衣装やメイクで女性らしさを身にまとってエンターテインメントのためにパフォーマンスをする人(たいていは男性)。トランスジェンダーとは限らない。
●トランスジェンダー transgender 性同一性
出生時に決められた性別(sex)と、自分が体感するジェンダーが異なること、またはその人々を指す包括的な用語。略称は「トランス」。「体と心の性別が異なる」「生物学的な性別と異なる」といった説明は誤解を招くことがあるので避けるほうが望ましい。
●トランスジェンダリズム transgenderism 性同一性 注意!
トランスジェンダーを指すが、この用語はトランスジェンダーを差別する人たちの間でよく使用される。使用は控えた方がいい。
●トランスセクシュアル(トランスセクシャル)transsexual 性同一性
医学的に使われていた古い用語で、トランスジェンダーと同義。ただし、トランスジェンダーと違って包括的な用語ではない。トランスセクシュアルとトランスジェンダーのどちらの用語を使って自認するかは個人によるので注意。ただし、「性別適合手術を受けた人」という意味では医学的には使用されなくなってきている。
●トランスフォビア transphobia 性同一性
トランスジェンダーの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。派生語として「トランスフォビック(transphobic)」「トランスフォーブ(transphobe)」がある。
●トランスフェミニン transfeminine 性同一性
女性的な性表現をするトランスジェンダーの人。
●トランスベスティゲーション transvestigation 性同一性 注意!
主に写真や動画などの情報で勝手に他人の身体的な性別を間接的に探り、「あの人はトランスジェンダーだ」などと決めつける行為。陰謀論の一種。
●トランスマスキュリン transmasculine 性同一性
男性的な性表現をするトランスジェンダーの人。
●トランスメディカリズム transmedicalism 性同一性 注意!
「性別違和を感じている人だけがトランスジェンダーである」や「性別適合手術などの医療処置を望むもしくは行った人だけがトランスジェンダーである」といったように、医療化によってトランスジェンダーは定義されるべきであるという考え方を指す。基本的にトランスジェンダーのコミュニティでは差別的な主張とみなされる。
●ニュートロワ neutrois 性同一性
ジェンダーが中立、もしくは存在しない人。性別適合手術など医療行為と関連して語られることが多い。広義のノンバイナリーに含めることもある。
●ネビュラセクシュアル(ネビュラセクシャル)nebulasexual 性的指向
ニューロダイバーシティ(神経や脳の個人的な違い)や侵入思考が理由で、他者に性的に惹かれるのかどうか判断できない人が用いる性的指向。⇒ 詳細はコチラ:「ネビュラセクシュアルとは何ですか?」
●ノンセクシュアル(ノンセクシャル)性的指向
他者に性的に惹かれないものの、恋愛はするという性的指向。主に日本語圏でのみ使われる。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「ノンセクシュアルとは何ですか?」
●ノンバイナリー nonbinary 性同一性
ジェンダー二元論にとらわれないジェンダーの自認のこと。総称としても、特定のラベルとしても扱われる。当事者の間では 「enby」が愛称として使用されることもある(略称として「NB」を使うこともあったが、「non-black」を意味するので推奨されない)。ノンバイナリーの人がトランスジェンダーかどうかは個人によって異なるので注意。
●ノンバイナリーフォビア nonbinary phobia 性同一性 注意!
ノンバイナリーの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。「enbyphobia」とも呼ばれる。
●バイジェンダー bigender 性同一性
2つのジェンダーを持つ人。
●バイセクシュアル(バイセクシャル)bisexual 性的指向
2つのジェンダーに性的に惹かれる性的指向(両性愛)。 パンセクシュアルとの定義の違いはやや曖昧。
●バイセクシュアル・イレイジャー bisexual erasure 注意!
両性愛(バイセクシュアル)の存在が過小評価されること。
●ハイパーフェミニン hyper-feminine
極端または過度な女性らしさ。
●ハイパーマスキュリン hyper-masculine
極端または過度な男性らしさ。
●バイフォビア biphobia 性的指向 恋愛的指向 注意!
バイセクシュアルの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。派生語として「バイフォビック(biphobic)」「バイフォーブ(biphobe)」がある。
●パンセクシュアル(パンセクシャル)pansexual 性的指向
あらゆるジェンダーに性的に惹かれる性的指向(全性愛)。
●パス(パッシング)passing 性同一性
トランスジェンダーなどと露骨に判断されることなく、他人に疑われることもなく、自分の望むジェンダーそのままに社会で通用できること。最近はこの用語の利用を控える動きもある。
●ピンクウォッシュ pinkwashing 注意!
組織や国などによる不正や不祥事から注意をそらすために、LGBTQ関連の事項を肯定的に話題に持ち上げて利用すること。「ピンクウォッシング」ともいう。
●フィクトセクシュアル(フィクトセクシャル)fictosexual 性的指向
架空の人物(例えば漫画やアニメのキャラクターなど)に性的に惹かれるというセクシュアリティ。⇒ 詳細はコチラ:「フィクトセクシュアルとは何ですか?」
●フェム femme 性的指向 恋愛的指向
レズビアンにおいて、女性的な特徴・行動・スタイル・自己認識などのジェンダー表現を指す用語。※「ブッチ」の解説も参照
●ブッチ butch 性的指向 恋愛的指向
レズビアンにおいて、男性的な特徴・行動・スタイル・自己認識などのジェンダー表現を指す用語。※「フェム」の解説も参照
●フレイセクシュアル(フレイセクシャル)fraysexual 性的指向
深い関係性がない他者にのみ性的に惹かれ、その人を知るにつれて性的魅力を感じなくなる性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「フレイセクシュアルとは何ですか?」
●ヘテロセクシュアル(ヘテロセクシャル)heterosexual 性的指向
異性に性的に惹かれる性的指向(異性愛)。ホモセクシュアルの真逆で、マジョリティを意識させるために用いられる。略称は「ヘテロ」。
●ヘテロノーマティビティ heteronormativity 性的指向 恋愛的指向 注意!
人は誰もが異性愛者だという思い込み。「異性愛規範」とも呼ばれる。
●ヘテロフレキシブル heteroflexible 性的指向 恋愛的指向
基本的に異性の人に惹かれるが、ときおり同性に惹かれたこともある人。
●ホモセクシュアル(ホモセクシャル)homosexual 性的指向
同性愛。ただし蔑称と扱われることもある。「ホモ」は蔑称。
●ホモソーシャル homosociality 注意!
男性優位性を確保するために構築される性的・恋愛的ではない男同士の関係性からなる集団。往々にして女性差別や同性愛差別の傾向がみられる。
●ホモフォビア homophobia 性的指向 恋愛的指向 注意!
同性愛の人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。派生語として「ホモフォビック(homophobic)」「ホモフォーブ(homophobe)」がある。
●ホモフレキシブル homoflexible 性的指向 恋愛的指向
基本的に同性の人に惹かれるが、ときおり異性に惹かれたこともある人。
●ポリアモリー polyamory
同時に複数の人と互いの同意のもとで性的もしくは恋愛的関係を持つ人。もしくはその行為。※「モノアモリー」の解説も参照
●ポリガミー polygamy
同時に複数の人と結婚する人。もしくはその行為。※「モノガミー」の解説も参照
●マイクロアグレッション microaggression 注意!
日常的に意図せずに起きる差別的な言動のこと。
●マイクロラベル microlabel 性的指向 恋愛的指向 性同一性
ある性的指向・恋愛的指向・性同一性のラベルを大きな枠と考えて、そこからさらに小さな、より複雑に細分化したラベルのこと。例えば、アセクシュアルのマイクロラベルにはデミセクシュアルやグレーセクシュアルなどがある。
●マルチジェンダー multigender 性同一性
複数のジェンダーを持つ人。
●ミスジェンダリング misgendering 性同一性 注意!
本人の性同一性と異なる性別で扱うこと。問題行為とされる。トランスジェンダーに対して「元男性」「元女性」「身体男性」「身体女性」と呼ぶのは典型的なミスジェンダリングである。
●モノアモリー monoamory
同時に1人の人としか同意のもとで性的もしくは恋愛的関係を持たない人。もしくはその行為。ポリアモリーの真逆。
●モノガミー monogamy
同時に1人の人としか結婚しない人。もしくはその行為。単婚。ポリガミーの真逆。
●モノセクシュアル(モノセクシャル)monosexual 性的指向
1つのジェンダーに魅力を感じること。
●リスセクシュアル(リスセクシャル)/ リソセクシュアル(リソセクシャル)lithsexual / lithosexual 性的指向
他者に性的に惹かれるが、その感情を相手から返してほしいとは思わないという性的指向。広義のアセクシュアルに含めることもある。⇒ 詳細はコチラ:「リスセクシュアルとは何ですか?」
●リップスティック・レズビアン lipstick lesbian 性的指向 恋愛的指向
特に女性的な化粧や服装も好む女性らしさの強いレズビアン。※「フェム」の解説も参照
●両性具有 注意!
大雑把には、男らしさと女らしさを併せ持つ性質を指す。日本語としての「両性具有」という用語は、心理学・文学・サブカルチャーなど幅広い分野で多義的に使われており、ジェンダーにおいても性同一性や性表現の双方で区別なく使われることがある。こうした事情から、ジェンダーを扱ううえでのこの用語の安易な使用は推奨されない。
●レインボーフラッグ
性的少数者の連帯(LGBT)を象徴する旗。
●レズビアン lesbian 性的指向 恋愛的指向
女性同士で惹かれる指向(同性愛)。「レズ」は蔑称。当事者の間では「ビアン」が愛称として使用されることもある。
●レズビアン・イレイジャー lesbian erasure 注意!
男性の同性愛ばかりで女性の同性愛の存在が過小評価されること。
●恋愛的指向 romantic orientation 恋愛的指向
どんな相手に恋愛的魅力を感じるか、または感じないかということ。
●Aスペクトラム a-spectrum 性的指向 恋愛的指向
広義のアセクシュアルやアロマンティックを合わせた総称。「a-spec」とも省略する。
●Aフォビア aphobia 性的指向 恋愛的指向 注意!
Aスペクトラムの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。
●Aceフォビア acephobia 性的指向 注意!
アセクシュアルの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。
●Aroフォビア arophobia 恋愛的指向 注意!
アロマンティックの人々に対する思い込みや誤った情報。偏見・差別・暴力などに繋がる。
●FTM 性同一性
「female to male」の略。トランスジェンダー男性のこと。「FTM」や「MTF」といった言い回しは最近では推奨されなくなっている。
●LGBT 性的指向 恋愛的指向 性同一性
性的少数者の連帯を示す言葉。単に性的少数者をまとめた総称という意味ではなく、その歴史的経緯から「性的少数者同士で差別せずに助け合う」という意味が内包されている。「LGBTQ」「LGBTQ+」「LGBTQIA」などの派生がある。
【誤用の言い回し】
「LGBTの人」「(ひとりの人物を指して)LGBT俳優」…正しくは「ゲイの人」や「トランスジェンダーの俳優」など詳細に言及すればよい。
●m-spec 性的指向 恋愛的指向
「マルチアトラクションスペクトル」もしくは「マルチセクシュアルスペクトル」の略語。バイセクシュアル、パンセクシュアル、ポリセクシュアル、はたまたバイロマンティック、パンロマンティック、ポリロマンティックなど、複数の性別に惹かれる指向を意味する広義の総称。
●MTF 性同一性
「male to female」の略。トランスジェンダー女性のこと。「FTM」や「MTF」といった言い回しは最近では推奨されなくなっている。
●SOGI(ソジ)性的指向 性同一性
「Sexual Orientation & Gender Identity」の頭文字で、マイノリティかどうかに限らず全ての性的指向と性同一性を表わす。「SOGIE」などの派生がある。「LGBT」の言葉を置き換えるものではないので注意。
●SWERF 注意!
セックスワーカー排除的ラディカルフェミニスト。セックスワーカーに対して差別的なフェミニストのこと。
●TERF(ターフ)性同一性 注意!
トランス排除的ラディカルフェミニスト。トランスジェンダーに対して差別的なフェミニストのこと。※「ジェンダー・クリティカル」「トランスジェンダリズム」の解説も参照
●TRA 性同一性 注意!
トランスジェンダー権利活動家(Trans Rights Activist)のことだが、トランスジェンダーを差別する人たちの間でトランスジェンダーの人権を守るために活動している人を揶揄するために使用される言葉ともなっている。使用は控えた方がいい。※「トランスジェンダリズム」「TERF」の解説も参照
●Xジェンダー x-gender 性同一性
男性でも女性でもないジェンダー。日本で使われ、日本独自の文化や歴史のある言葉(海外ではほとんど使われない)。「ノンバイナリー = Xジェンダー」ではない。広義のノンバイナリーに含めることもある。