「ケイドセクシュアル（ケイドセクシャル / Caedsexual）」とは何ですか？ 定義は？

他者に性的に惹かれない「アセクシュアル（アセクシャル）」は性的トラウマと直接的な因果関係はない…って以前に説明したよね。

でも少し補足が必要なんだよね。

アセクシュアルであるという性的指向と性的トラウマが結びついている人もいるんだよ。

それはあくまでアセクシュアルという性的指向を説明するときの一般論的な話であり、個別の当事者に目を向けたときはちょっと事情も違ってきて…。

その話を深くしていくためにこのラベルの話題を取り上げよう。それが「ケイドセクシュアル（ケイドセクシャル）」です。

英語では「Caedsexual」もしくは「Caedosexual」というのだけど、日本語では「ケイドセクシュアル」の他に「ケドセクシュアル（ケドセクシャル）」とか「カエドセクシュアル（カエドセクシャル）」とか表記している場合もみられるね。

そうだね。「グレーセクシュアル」とか「デミセクシュアル」と同じ、アセクシュアルを細分化するマイクロラベルだね。

ケイドセクシュアルというのは、過去の何かしらの性的なトラウマのために現在はアセクシュアルであると感じている人のことです。

うん。例えば、ある人は以前は他者に性的な魅力を感じていて惹かれたりもしていた。要するに「アロセクシュアル（アセクシュアルではない人）」だね。でもトラウマがきっかけで他者に性的に惹かれなくなってしまった…。つまりアセクシュアルといえる状態になってしまった…。そういう人のことだね。

正確にはわからない。そもそも性的指向の医学的な診断はできないから、根拠みたいなものを問うことはできない。ただ、ケイドセクシュアルの当事者にとって、性的指向を考えるうえでその自身が過去に受けたトラウマを脇に置くことはできない。

ケイドセクシュアルの人は、基本的にはトラウマのサバイバーであり、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の症状があり、生活に支障をきたしているケースが多いよ。

性的指向というものは人によっては流動性があるので何とも言えない。別にアセクシュアルでなくなってもおかしいことではないし、アセクシュアルのままでも変ではないよ。

いや、強制的にそのラベルが押し付けられるわけじゃないよ。無理にこのラベルを使うことを勧めているわけでもない。あくまでこれは当時者が考えることだから。

一般的にアセクシュアルの原因としてトラウマがあるわけではない。これは偏見を防ぐ目的としてもハッキリ言及されることだよね。でも一方でトラウマを抱えていてそれが無性愛の認識に深く関わっていると個人の中では感じている人もいる。そういう人も軽視できない。だからケイドセクシュアルというラベルがあるんだよ。

そうだね。とくにPTSDのような深刻な症状を抱えている場合は、専門的なケアを必要としている。そういう人たちを可視化してケアを優先させる意義もあるね。

ただ、さっきも言ったけど、このケイドセクシュアルのラベルは押し付けられるものではないし、無理に公表するものでもない。自分がトラウマ・サバイバーであることやPTSDであると周囲に知られたくない人だっている。そのあたりは慎重な配慮が必要だね。

何よりも当事者の過去を詮索しないことだね。なぜアセクシュアルなのかと原因を追及したりしないこと。そこはプライベートな部分であり、本人の自発的な意思を一番に尊重しないといけない。

あと「自分はトラウマがあってアセクシュアルなのかなと思っている…」という人がいたとしても、無理に性的指向に悩まなくても大丈夫。それよりもまずはトラウマに対するケアを優先させましょう。ケイドセクシュアルであろうとそうでなかろうとケアを受けることはできますから。

そうだね。ケイドセクシュアルというラベルの使用についてはいろいろ議論はあると思うけど、原因ではなくトラウマに対するケアに焦点をあてて当事者のサポートを充実させたいよね。