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「アロセクシュアル(アロセクシャル)」とは何ですか? 定義は?

アロセクシュアルとは何か
Q
アロセクシュアル(アロセクシャル)とは何ですか?
A

他者に性的に惹かれるという性的指向のことです。「アセクシュアル」と反対の意味の言葉であり、マジョリティ側に位置します。

反対の意味の言葉の意義

こうはい
こうはい

LGBTに関する情報を調べていたら「ストレート」とか「シスジェンダー」という言葉があったんですよね。

せんぱい
せんぱい

ストレートは「異性愛」のことで、ヘテロセクシュアルと言ったりもする。シスジェンダーは「出生時に割り当てられた性別が、自分が自認するジェンダーと一致する」ことを意味する…つまりトランスジェンダーの真逆だね。

こうはい
こうはい

はい。でもなぜわざわざそんな言葉があるのでしょうか。ストレートもシスジェンダーもいわゆる性的少数者(マイノリティ)ではないですよね。LGBTとしては性的少数者を示すそれぞれの言葉だけがあればいいのではないですか?

せんぱい
せんぱい

そう思うかもしれないけど、これらの言葉はとても大事だよ。その理由はフェアだからだ。

こうはい
こうはい

フェア? 対等ってこと?

せんぱい
せんぱい

もしトランスジェンダーという言葉があるだけだったら、トランスジェンダーではない人たちはとくに言葉すら必要としない「普通」という扱いになり、逆を言ってしまえばトランスジェンダーの人たちを「異質」とみなすことになる。

こうはい
こうはい

そうですね。トランスジェンダーとシスジェンダーという2つの言葉があった方が対等な立場に見えます。

せんぱい
せんぱい

実際の社会における境遇は差別や偏見のせいで対等ではないけど、少なくとも言葉においては両者が対等となる。同性愛と異性愛も同じ。ゲイやレズビアンという言葉があるなら、それに相当する異性愛を示すストレートという言葉もあった方がいい。そうすればトランスジェンダーや同性愛の人たちを「ちょっと特殊なグループ」のように捉えることも避けられるよね。

こうはい
こうはい

性的指向や性自認の話題はLGBT当事者ではないから関係ない…なんてことはない。だってあなたはストレートやシスジェンダーでしょ?ってことだね。

せんぱい
せんぱい

そうやって無自覚にマジョリティ側に立っていることを意識させるために使われることもある。「私はストレートです」「私はシスジェンダーです」と自ら紹介することで、性的少数者だけに紹介の負担を与えることも低減できるね。

こうはい
こうはい

こういうストレートやシスジェンダーという言葉を使っているマジョリティの人は、これらの性的指向や性自認の話題に意識がある人だって感じることもできるかも。

せんぱい
せんぱい

逆に差別的な人はストレートやシスジェンダーという言葉を嫌ったり、自分勝手な意味に書き換えて使う傾向があるしね。

こうはい
こうはい

やっぱりそうなんだ。

せんぱい
せんぱい

だからストレートやシスジェンダーというマジョリティ側を指し示す言葉は大事なんだ。

アセクシュアルの反対の言葉

こうはい
こうはい

あれ? じゃあ、アセクシュアルにも反対の意味の言葉があるってこと?

せんぱい
せんぱい

そうです、それが本題として伝えたかった!

こうはい
こうはい

その言葉とは?

せんぱい
せんぱい

「アロセクシュアル」です!

こうはい
こうはい

アロ…あれれ?「アロマンティック」と似てない? 他者に恋愛的に惹かれないっていうアロマンティックも省略して「アロ」って呼んだりするのでしょ?

せんぱい
せんぱい

そうですね、そこは日本語ゆえに言葉が似ちゃってるのだけど…。でも英語ではアロセクシュアルは「Allosexual」、アロマンティックは「Aromantic」なので「Allo」と「Aro」で全く違うよ。「Allo」は「アロ」と発音するけど、「Aro」の方は「エイロ」だしね。

こうはい
こうはい

ちょっとややこしいね…。

せんぱい
せんぱい

英語圏では普通に「Allo」と省略して用いていることがアセクシュアル・コミュニティでは多いよ。

こうはい
こうはい

「allo」ってどういう意味なの?

せんぱい
せんぱい

「異なる」とか「異質」という意味だね。要するにアセクシュアルの私たちから見れば、他者に性的に惹かれる人たちの方がよっぽど異質ですよ…っていう皮肉でもあるね。

こうはい
こうはい

ふ~ん、なんか痛快だね!

せんぱい
せんぱい

アロセクシュアル以外にも「ゼッドセクシュアル(zsexual)」という言葉もアセクシュアルの反対の言葉として作られたのだけど、こっちはアセクシュアル・コミュニティの間でもあまり普及していないよ。

アロセクシュアルという言葉も広めたい

こうはい
こうはい

でもさ、アロセクシュアルという言葉も世間ではあまり聞かないよね。私の見たLGBTに関する本やウェブサイトでもアロセクシュアルは取り上げられていなかった気がする。

せんぱい
せんぱい

確かにアロセクシュアルという言葉の知名度はストレート(ヘテロセクシュアル)やシスジェンダーという言葉と比べたら低い。とっても低い。

こうはい
こうはい

そうだよね。自分のことを「私はアロセクシュアルです」って紹介する人、ほとんど見かけないもん。

せんぱい
せんぱい

その認知の低さはアセクシュアル界隈自体がまだまだ理解されていないからだろう。でもアロセクシュアルという言葉もやっぱり大事だ。

こうはい
こうはい

マジョリティ側を意識させるために?

せんぱい
せんぱい

うん。性的に惹かれないのがアセクシュアルなのだとしたら、性的に惹かれるのはアロセクシュアルだ。そしてやはりアロセクシュアルの人たちはマジョリティとしての特権を持ち、アセクシュアルを無自覚かもしれないけど踏みにじっていることがあるのも事実だ。

こうはい
こうはい

他者に性的に惹かれるっていうことは、意識すらされずに「普通」だと世間では思われているもんね。

せんぱい
せんぱい

そう、でもどちらも対等であるべきだよね。差別しないというのなら、対等に扱わないと。

こうはい
こうはい

他者に性的に惹かれるアロセクシュアルには異性愛の他に、同性愛や両性愛なんかも含まれるの?

せんぱい
せんぱい

そうなるね。つまり同性愛の人は異性愛に対してはマイノリティだけど、無性愛に対してはマジョリティな立場があるということだね。

こうはい
こうはい

そっか、そうなるのか。

せんぱい
せんぱい

でもだからといってアセクシュアルと比べて同性愛の方が優位という単純な上下関係ではないけどね。アセクシュアルの人の中にも同性愛差別をする人はいるし、アセクシュアルの人の中でも異性に恋愛する人もいれば同性に恋愛する人もいて後者の方が差別を受けるのは事実だからね。

こうはい
こうはい

性的に惹かれないアセクシュアル、性的に惹かれるアロセクシュアル…とハッキリ白黒つけられない人の場合はどうするの?

せんぱい
せんぱい

無理に二者に分ける必要はないし、それを強制しているわけでもない。「グレーセクシュアル(グレーセクシャル)」「デミセクシュアル(デミセクシャル)」という言葉もあるしね。

こうはい
こうはい

あらためて聞きますけど、一般的にアロセクシュアルってどういう人のこと?

せんぱい
せんぱい

誰を相手としたとしても平常的に性的に惹かれて、それを疑ったこともないならアロセクシュアルと言えるかもしれない。でも人の性的指向は表面から判断できるわけではないから、勝手に決めつけて言い放つようなことはやめようね。

こうはい
こうはい

あくまでアセクシュアルとアロセクシュアルとして対等に意識させるためだよね。

せんぱい
せんぱい

そう、それが何よりも忘れてはいけないことだね。

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編集部コメント

ストレート(ヘテロセクシュアル)やシスジェンダーと同じように、アロセクシュアルという言葉はマジョリティの特権的立場や存在感を強調するために主に用いられます。当事者かどうかに限らず、ぜひ理解をしておいてほしい言葉です。