「アブロセクシュアル（アブロセクシャル / Abrosexual）」とは何ですか？ 定義は？

何度も繰り返して申し訳ないけど、他者に性的に惹かれない「アセクシュアル（アセクシャル）」はわかるということでいいよね？

話が早いね。その広義のアセクシュアルを「アセクシュアル・スペクトラム」と言うけど、今回はまだ紹介していないマイクロラベルを取り上げようと思う。

それだけアセクシュアル・スペクトラムは多様だということだね。なにせ幅広いから。

「アブロセクシュアル（アブロセクシャル）」という性的指向だ。

アブロです。英語では「abrosexual」と書くけど、この「アブロ（abro）」というのはギリシャ語で「繊細な」「優美な」という意味だね。

アブロセクシュアルは、性的指向が流動的なんだ。例えば、あるときはアセクシュアルだと自認していて、少し時期が立つと今度はバイセクシュアルだと自認している…みたいに。

そういうことだね。アブロセクシュアルをアセクシュアルのスペクトラムのひとつとして扱うこともあるけど、そう扱わないこともある。これに関しては個人で違ってくるね。

まずどんな性的指向に変化するかは人それぞれ違う。ゲイの人がバイセクシュアルに変わったり、アセクシュアルの人がレズビアンに変わったり、異性愛者からパンセクシュアルに変わったり、いくらでもパターンは考えられるね。

それも人によって違う。1回だけ変化して終わりという人もいれば、生涯を通じて変化し続けている人もいる。

そのあたりも人によってさまざまだ。変化が定期的な間隔で起きる人もいれば、不定期に起きる人もいる。数時間、数日、数か月、または数年と、その変化の時期もまちまちだね。

これも人によって違うし、そもそも流動的な変化が起きる理由みたいなのは特定のしようがないというのが現実だと思う。とにかく性的指向が流動する。それが当事者に起きている唯一の事実だね。

確かにアブロセクシュアルとエースフラックスは似ている。重なる部分も多い。でも違いはあるよ。

まずエースフラックスは基本的に「Ace」とラベル名についているとおり、アセクシュアル・スペクトラムの人が使っていることが多い。逆にアブロセクシュアルはアセクシュアル・スペクトラムと全然関係がなくても使えるね。

それにアブロセクシュアルは、性的に惹かれる対象となる性別が変化することもあるんだ。つまり、男性を好きだった人が女性を好きになるようになるとかね。

一方でエースフラックスは、性的指向の流動性といってもその性的に惹かれる強さの程度の変化だったりを指すことが多いね。

といってもこれも個人差があって、個人でどう考えているかも違うので、あくまでおおよそのアブロセクシュアルとエースフラックスの区別だと思ってね。厳密な境界線があるわけではないよ。

本人の好きなように自認してくれて構わない。アブロセクシュアルがいいかなと思えばそれでいいし、エースフラックスにしようと思えばそれでOKだよ。もちろんどちらも自認しないというのもありだね。ラベルは強制ではない、あくまで肯定感を与えるためのものだから。

ここからはアブロセクシュアルのよくありがちな誤解を簡単に説明するけど…。

まずその人の気分で自由に性的指向を選択しているわけではありません。明日は「同性愛」になろうっと…みたいな感じでファッション選びみたいにはチェンジできない。決して性的指向を軽いものとして扱っているわけじゃないよ。

これも大事なことだけど、性的指向の変化を自分がコントロールすることはできないから、例えば、レズビアンの人が「私はバイセクシュアルになりたいな」と思ってどんなに努力しても、その状態を指してアブロセクシュアルであるとは言ったりしません。

そして忘れてはならないけど、性的指向の変化を他人がコントロールもできません。例えば、ゲイの人を異性愛者に変えようとする、つまり矯正は危険なことだし、それ自体をアブロセクシュアルは正当化するものじゃないです。

アブロセクシュアルは性的指向だけど、恋愛的指向が流動する場合は「アブロロマンティック（Abroromantic）」と呼びます。あと、基本的に同性の人に惹かれるけどときおり異性に惹かれたこともある人は「ホモフレキシブル」と言ったりするし、基本的に異性の人に惹かれるけどときおり同性に惹かれたこともある人を「ヘテロフレキシブル」と言うこともあるよ。

うん。性的指向が変動する人もいる。だから安心してね。