恋愛への関心が低い。恋愛に興味が薄い。こんな私はアセクシュアルやアロマンティックですか？

あなたが今一番興味関心があるものは何ですか？

まあ、そうだね。でも興味関心があることは何か？って聞かれやすいよね。

その人を知るうえでの参考になりやすい情報だね。

でもそこに「恋愛」を混ぜて考えるとなんだかおかしなことになることはない？

要するに「恋愛」はどんな趣味や興味関心事よりも「上」にないといけない！ 恋愛への興味関心が低いなんてことはおかしい！…みたいな考え方はけっこう社会には蔓延しているとね。

うん。恋愛に対するこうした考えは珍しくない。とくにこれは女性に起きやすい傾向があるね。女なら恋愛に関心があって当然だ…という世間の圧力。

男性だと恋愛よりも「性」に対する興味や関心が低い人は異常者のように扱われることが多いよね。男なら性欲を前提とした興味関心がどんなものよりも「上」に来るはずだ…というプレッシャーだね。

そういうことになる。なぜか「あるもの」の興味関心が低いとオカシイと思われてしまう。そしてそれは「恋愛」だったり「性」だったりすることが多い。

これはいわゆる「恋愛伴侶規範」のせいだよね。これは英語で「アマトノーマティビティ（amatonormativity）」って言ったりもする。

つまり「人は誰もが恋愛をして伴侶を持つ」という考えが社会によって当然なものとして押し付けられることを意味している。

そのとおり。そうじゃない人だっていっぱいいる。でも社会はそれを規範として押し付けてくる。

それは例えば、政治的な思惑だったり、宗教的もしくは伝統的な家族観だったり、さらには商業的な狙いだったり、いろいろ背景はあるだろうね。とにかく私たちはそういう恋愛伴侶規範に小さい頃から浸っているので、それが当然なんだとまんまとマインドコントロールされてしまうことも多い。

もちろんそんな規範に従う必要はない。恋愛に興味関心が低くてもオカシイことではないよ。私は女だけど恋愛よりゲームしている方が好き…とかでも全然OKだよね。

恋愛への興味関心が低いからって恋愛しないとも限らない。恋愛はするけど、他の興味関心事よりも上として重視するとは限らないってこともある。恋愛の興味関心が上がり下がり激しい人だっている。

「恋愛をしない」「恋愛ができない」「恋愛がわからない」…そんな感じのことを漠然と思っている人や、明確に自分の意思として貫いている人だっていると思う。それだって全く構わないよね。

他者に性的に惹かれないという性的指向の「アセクシュアル」、他者に恋愛的に惹かれないという恋愛的指向の「アロマンティック」のことだね。詳しくは個別の解説ページを見てほしいけど…。

うん。そうだね。まずこのアセクシュアルやアロマンティックといった性的指向や恋愛的指向のようなオリエンテーションのラベルはあくまで自分のアイデンティティを示すために本人が使うものだよ。

特定の定義に当てはまる人を外部の人間がジャッジしてカテゴライズするためのものじゃない。本人がこのラベルを使うかどうかを決めていいんだ。

そう。恋愛への興味関心が低いから私はアセクシュアルやアロマンティックかなと思えばそれでいいし、別にアセクシュアルやアロマンティックという言葉を当てはめたくないと思ったらそれでもいい。

人によってはアセクシュアルやアロマンティックという言葉と出会ってスッキリする人もいるだろうからね。「リスロマンティック」みたいにもっと細かいラベルもあるし。

私は恋愛への興味関心が低いな…という人は、それで自分を後ろめたく思う必要はない。もしかしたらアセクシュアルやアロマンティックのようなコミュニティがあなたの味方になるかもしれないよ。

もし「私は恋愛への興味関心が低い」と言っている人を見かけたら、否定せずにそのまま受け止めてほしい。「いずれ興味を持つようになる」「抑えているだけだ」とかそんなことを言わずにね。