アセクシュアル（アセクシャル）でも自慰行為（オナニー / マスターベーション）はしますか？

個々で事情はあるかもしれないけど、基本的にそういうことになるね。「グレーセクシュアル」や「デミセクシュアル」も含めるといろいろ違ってくるのだけど…。

その質問はよくあることだね。当事者でも悩むことはあると思う。

うん。まず自慰行為について簡単に説明しようか。自慰（じい）というのは「オナニー」や「マスターベーション」と言ったりもするけど、要するに自分の手や何かの道具などを用いて自分の性器を刺激して性的快感を得る行為のことだね。

そのとおり。自慰は男性でも女性でも性別に限らず行われているよ。

自慰を全くやったことがない人も何も問題ないよ。やるかやらないかは個人の自由だからね。

そうだね。だからそういう他者との性行為を経験する前に、まず自慰行為で性的な快感を知るという人は少なくないね。

え～と…ざっくり言うと、それは人によって違ってくるだろうね。アセクシュアルでも自慰行為を経験したことがある人はいるし、全く経験したことがない人もいる。経験したけどもうやらなくなった人もいるし、積極的にやっている人もいる。

他者に性的に惹かれず性的関係を望まないけど「性的空想・ポルノ・自慰」などを楽しむことはするという性的指向を、「エーゴセクシュアル（エーゴセクシャル）」といって、そのラベルを好んで用いる人もいるよ。

また、他人とのセックスよりも自慰を好むから自分は、自分自身に性的魅力を感じる「オートセクシュアル（オートセクシャル）」だと捉える人もいる。

まあ、エーゴセクシュアルやオートセクシュアルというラベルを当てはめていなくても、アセクシュアルの人でも自慰する人はいるし、それをしていても何も変なことではないよ。

アセクシュアルというのはあくまで「他者」に性的に惹かれないのであって、性的な事柄を一切拒絶しているという意味ではないからね。

ちなみに世の中には、自慰を非道徳的で「やってはいけない行為」として禁じるような宗教的価値観の人もいる。そういうのは「反オナニー」といった説明がされるけど、アセクシュアルはそういう宗教的な禁欲とは全然違うものなので、混同しないようにね。

アセクシュアルでも自慰する人はいる…と説明したけど、でもこの自慰は過大評価されがちなんだよね。

例えば、異性を相手にイメージして自慰したから「異性愛」で、同性を相手にイメージして自慰したから「同性愛」…そんなふうに判断できると主張する人もいる。

でも実際のところ、自慰の内容で性的指向を断定したりはできない。自慰はただの性行為のひとつにすぎず、変に深読みするものでもないよ。

異性をイメージして自慰を試みても性的快感を得られなかったからといって、同性愛者だということになるわけじゃない。単に疲れていただけかもしれないし、そういう快感を得られるシチュエーションじゃなかっただけかもしれない。

逆に、同性をイメージして自慰する異性愛者の人も中にいる。自慰は基本的に空想だから何でもありだよね。

そう、自慰を変に男らしさの目安みたいに持ち上げる人もいるんだよね。

自慰についてそんな小難しく考える必要はないよ。「自慰をできるようにならないと…」とか「自慰をしてはいけないんだ…」と自分を追い込むことはない。

相談しづらく、ひとりで悩んでしまうこともあると思うけど、大丈夫だよ。プレッシャーを感じないでね。