- Qクワロマンティック(クォイロマンティック)とは何ですか?
- A
何が恋愛的魅力なのかがわからない、もしくは恋愛的指向は自分には有用ではない・関係ない・定義したくないという考えや立場を意味します。
恋愛的な魅力ってイマイチわからない人のために
他者に惹かれる魅力には「性的魅力」や「恋愛的魅力」の他にも「美的魅力」「感覚的魅力」「プラトニックな魅力」など、いろいろあるって話はしたね。あと「恋愛的指向」としてもいろいろあるよということも語ったよね。
うん、魅力は無限大に奥が深いよね。
でも中にはこう思った人もいるんじゃないかな。私にはそんな魅力を区別なんてできないと。
う…確かにそれは感じる人もいるよね。
恋愛的な魅力とプラトニックな魅力の区別なんて全然できないよ!…とか。そもそも何をどこまでが恋愛的な魅力なの?…とか。
う~ん、恋愛だよ…だから、その…恋愛的な…あ~…恋愛って何だっけ?
性的魅力は性行為という具体的な行動を軸にすればいいとして、恋愛は漠然としていてわからない。だから恋愛的指向の判断も自分にはできる自信がない…そう考える人もいると思う。
そうなってくるとどう受け止めればいいのかな? 恋愛的指向の話についていけないよね…。
大丈夫。そんな人のための言葉がある。それが「クワロマンティック」だよ。
クワ…ロマンティック?
「クワロマンティック」は「クォイロマンティック」とも呼んだりする。英語では「Quoromantic(Quoiromantic)」と書くね。
どうしてそんな言葉が生まれたの?
これはちょっと経緯があるのだけど、まず2000年代初めに英語圏で「性的指向」と「恋愛的指向」を分けるという考えが広まり始めた。「アロマンティック」を紹介したときに説明したね。
うん。「スプリット・アトラクション・モデル」だったかな?
でもその過程で「いや、自分は恋愛的指向っていうのはちょっと理解できない!」と反論する人もいたんだ。
ふ~ん、それで?
で、その人は冗談半分で「WTFromantic」って言葉を使ったんだよね。これは「what the fuck」の略で、まあ、要するに「恋愛なんてクソったれ」みたいにわざと下品な感じでボヤいただけなんだけどね。
だから「WTF」なのね。
けどこの反論した人でも思ってみなかったことに意外と共感する人が多かった。そこで2012年ぐらいに「Quoiromantic」という言葉が代用され始めたんだ。「Quoi」はフランス語で「what」という意味だよ。
そんな誕生の裏話があったのか~。
具体的にはどういう意味?
「クワロマンティック(クォイロマンティック)」というのはどういう意味になるんですか?
恋愛的魅力と他の魅力の区別がつかない、もしくは恋愛的指向というものを捉えることができない…そんな人が使うよ。
恋愛がわからん!ってこと?
といっても恋愛の方法論がわからないとか、そういうことじゃないけどね。デートをどうやってプランニングするべきか悩むとか、キスの上手いやり方が身につきません…とか、そういうわけじゃなく…。
あくまで魅力や指向がわからない人の言葉だね。
それに恋愛的指向という概念自体にそもそも意味を感じないとか、自分には関係ないとか、定義をしたなくないとか、そういうふうに考える人も「クワロマンティック(クォイロマンティック)」に当てはまるよ。
他者に恋愛的に惹かれない「アロマンティック」とは違うの?
うん。「クワロマンティック(クォイロマンティック)」の人は「アロマンティック」という言葉にはしっくりきていないことが多い。恋愛をしないわけじゃない、好きになった人はいる…でも自分では恋愛的魅力を感じているのか、よくわからない…そういう感じかな。
そういう感覚か…。
今の時点で恋人はいるけど、付き合っているだけで、恋愛をしているのかという実感はイマイチとか…そういうパターンもあるだろうね。
その人との恋愛に冷めたとかではないんだよね?
うん。特定の人に限定しているんじゃなくて、恋愛全般に対してそう思っているということだから。わからない状態だよね。
わからない…ってことはいずれはわかるようになるの?
それもわからない…。でも少なくとも今はその恋愛というものに関して自分では積極的に指向や魅力について判断しないことにする。そういうスタンスの人を「クワロマンティック(クォイロマンティック)」として居場所を与えているんだ。
居場所があるのは大事だね。
「する・しない」だけじゃない
これまではこういう人は「恋愛経験が乏しいだけ」とか「自信がないのだろう」とか「判断をあやふやにして誤魔化している」とか、そうやってネガティブなことを言われがちだった。
恋愛がわからないっていうのはどうしてもそう扱われやすいよね。一部の恋愛を積極的にする人がモデルケースみたいにされたりしてね。早くああいう堂々とした明確な恋愛をしましょう…みたいに…。
そうなんだよね。でもこういう「クワロマンティック(クォイロマンティック)」の人は珍しいわけではない。今までハッキリとした自分を示す言葉を与えられてこなかっただけなんだ。可視化されていなかった…というやつだね。
「クワロマンティック(クォイロマンティック)」という言葉を知ってホッとした人もいるんじゃないかな。
さっき「クワロマンティック(クォイロマンティック)」は「アロマンティック」とは違うと言ったけど、一応はアセクシュアルやアロマンティックからなる「Aスペクトラム」に含めることも多い。大きな仲間の枠だね。
恋愛する人より恋愛をしない「アロマンティック」の人の方が理解してくれやすそうだもんね。
2016年の調査によればアセクシュアルの人のうち約9.5%が「クワロマンティック(クォイロマンティック)」だと答えているよ。
そっか、アセクシュアルでクワロマンティック…という人もいるんだね。
あとこれもスペクトルで考えることもできるね。例えば、恋愛的魅力とそれ以外の魅力を区別できますか?という質問に対して「はい・いいえ」の二択ではなく、「明確に区別できる・やや区別できる・あまり区別できない・全く区別できない」に分類して答えてもらうとか。そうするとこれまで以上に「クワロマンティック(クォイロマンティック)」の存在は掘り起こせるかも。
実際はもっといそうだよね。
恋愛がわからない…となったとき、たいていは恋愛作品を見たり読んだりすれば学べると思うかもしれない。恋愛経験のある友人に訊ねる人もいるかもしれない。
恋愛ドラマとか恋愛小説を参考にしたりね。
でも恋愛はマニュアルがあるわけじゃないし、王道のセオリーがあるわけでもない。単に特定の恋愛のパターンが華やかで商業的にも価値があるから持てはやされているだけなんだ。そもそも恋愛的魅力や恋愛的指向は個人で違ってくる。他人や創作物が頼りになることの方が少ないと思う。自分じゃないんだからね。
けど自分の外側にある「恋愛お手本」どおりじゃないとダメなのでは?という不安があるよね。
そう。だからこその「クワロマンティック(クォイロマンティック)」。恋愛は「する・しない」だけが選択肢じゃない。「わからない」「判断しない」のも立派な答えだよ。
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編集部コメント
人を好きになることもあるけど恋愛なのかはわからない…そういう人は「クワロマンティック(クォイロマンティック)」という言葉に出会うことで自信が持てるかもしれません。それもまたアイデンティティです。
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