- Qネビュラセクシュアル(ネビュラセクシャル / Nebulasexual)とは何ですか?
- A
ニューロダイバーシティ(神経や脳の個人的な違い)や侵入思考が理由で、他者に性的に惹かれるのかどうか判断できない人が用いる性的指向のラベルです。
ニューロダイバーシティとは?
突然ですがあなたの脳みその中はどんな感じですか?
え? 何その質問…。う~ん、そう言われてもわかんないよね。だって脳みその中身なんて見えないし…。
うん、そのとおりだね。でも脳みそにも個性があると思わない? だって体のつくりはみんなバラバラで個性があるでしょ?
確かに目の大きさ、腕の長さ、皮膚の色、毛深さ、筋肉のつきかた…それぞれに個性があるし、脳にも個性があると考えても普通だよね。
今回はその話と関係がある話題だよ。ずばり「ネビュラセクシュアル(ネビュラセクシャル)」という性的指向のラベルについてだ。
ネビュラ…?
英語では「Nebulasexual」と書くよ。このネビュラセクシュアルについて説明する前に、まず「ニューロダイバーシティ」について解説しておかないといけないかな。
ニューロ…ダイバーシティ?
ニューロダイバーシティ(Neurodiversity)というのはその名のとおり、「ニューロ(神経)」の「ダイバーシティ(多様性)」という意味だね。
それは最初に話題にしていた「脳にも個性がある」っていう話と関係してくるの?
そう。発達障害や神経疾患と呼ばれるものがあるよね。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)などが代表的だけど。
それはなんか聞いたことがあるかな。
そういう状態を抱える人々のことを世間では病気や障がいとして扱ってきたけど、これを個性として扱おうという流れがあるんだ。つまり、人種やジェンダーと同じで個性あるカテゴリとして尊重しようということだね。
治さなくていいの?
別に治療を全否定するわけではないけど、それよりはどんな脳や神経の違いを抱えた人でも平等に生きられる社会を作りましょうということを最優先にする…そういう考え方だね。これを「ニューロダイバーシティ」というんだよ。
そういう意味がある言葉なのか~。
それでその一部の発達障害や神経疾患を抱えた人の中には、その脳や神経の違いゆえに、他者に性的魅力を感じているのか自分でもよくわからない人もいるんだよね。
上手く自己判断できないということだね。
そういう人のためにあるラベルがネビュラセクシュアルというわけなんだよ。
侵入思考とは?
そうか…脳や神経によって性的魅力の有無が判断しづらくなる人は確かにいるよね。
それだけでなくて「侵入思考」が影響することもあるけどね。
侵入思考?
これは英語で「Intrusive thought」ともいうのだけど、具体的には…そうだね…高いところに立ったときに急にそこから飛び降りる想像をしてしまうことはない? もしくは何気なく歩いているときに他人を殴ってしまうイメージが不意に湧くとか。
う~ん、言われてみればあるのかも。想像するだけだよね?
そう、そういう突発的に生じる何気ない想像。自分では望んでいない思考やイメージで、実行に移すわけでもなく、一瞬だけ頭によぎって煩わしさを感じるけどすぐ忘れる…。
そういうのを侵入思考って言うのか! 名前がついてるなんて知らなかったよ。
不愉快な侵入思考であってもこれはたいていの人には見られる現象でとくに気にすることなく日常を送れているんだ。
まあ、そうだよね。
ただし、中にはこの不愉快な侵入思考が過度に頻発してしまい、日常生活すらままならなくなる人がいるんだよね。主に強迫性障害(OCD)、うつ病、身体醜形障害(BDD)、ADHD(注意欠陥多動性障害)に関連していると言われているよ。
それはつらいな…。
こういう侵入思考のせいで自分が他者に性的に魅力を感じているのか判断できないという人もいて、そういう人もネビュラセクシュアルのラベルは内包しているよ。
範囲は広いんだね。
ネビュラセクシュアルの「ネビュラ」は「nebulous」という単語に由来していて、これは「曖昧な」とか「不明瞭な」という意味だよ。
ネビュラセクシュアルとアセクシュアルの関係
ところで、このネビュラセクシュアルは「アセクシュアル(アセクシャル)」のマイクロラベルだと言えるのかな。
アセクシュアルのマイクロラベルのひとつとして「クワセクシュアル(クォイセクシュアル)」というラベルがある。これは「性的魅力と他の魅力の区別がつかない、もしくは性的指向というものを捉えることができない」という人が用いるラベルだね。
ふむふむ。それはちょっとネビュラセクシュアルに似ているね。
うん。クワセクシュアル(クォイセクシュアル)の場合はなぜ自分の性的指向を捉えられないのかという点は考慮はしていないのだけど、ネビュラセクシュアルはそれがニューロダイバーシティや侵入思考が理由だとわかっている。つまり、ニューロダイバーシティや侵入思考に関連付けられるクワセクシュアル(クォイセクシュアル)のことをネビュラセクシュアルと呼ぶ…と解釈もできるね。
じゃあ、ネビュラセクシュアルはクワセクシュアル(クォイセクシュアル)の傘下みたいなものだね。
だからネビュラセクシュアルをアセクシュアルの細かい分類のひとつと考えてもいいし、アセクシュアルと別だと考えてもいい。そこは人それぞれだと思うよ。
個人を尊重しないとね。
ネビュラセクシュアルの人の中には、他者と性的関係になることを望んでいる人もいれば、望んでいない人もいるし、望んでいるかどうかさえもわからない人もいる。事情はバラバラだからね。
性的魅力の話をしたけど、これが恋愛的魅力についてだったらどうなるの?
ニューロダイバーシティや侵入思考が理由で、他社に恋愛的魅力を感じているのか自分でわからない人は「ネビュラロマンティック」というラベルがあるよ。これは「クワロマンティック(クォイロマンティック)」と関係があると言えるね。
なるほどね。
だから性的魅力も恋愛的魅力もどちらも対象なら「ネビュラアロマアセク(Nebulaaroace)」と呼ぶこともできるね。
このへんは他のラベルと同じだね。
ニューロダイバーシティと性的指向の関係についてはまだまだ議論がいろいろあるので、今後また別のラベルが作られたりするかもしれない。とりあえずネビュラセクシュアルというラベルがあるということを知っておくといいんじゃないかな。
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編集部コメント
ここで説明しているのはネビュラセクシュアル(ネビュラセクシャル)の一般的な定義です。当事者個人で実際の細部は異なるので、その人の意見を尊重しましょう(失礼に問い詰めないように)。
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