- Qリスセクシュアル(リスセクシャル / Lithsexual)・リソセクシュアル(リソセクシャル / Lithosexual)とは何ですか?
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他者に性的に惹かれるが、その感情を相手から返してほしいとは思わないという性的指向のことです。
他者に性的に惹かれるけど…

他者に対して性的に惹かれないという性的指向である「アセクシュアル(アセクシャル)」。そのいろいろなバリエーションはまだまだあるよ。

本当にたくさんありますね。グレーセクシュアル、デミセクシュアル、フレイセクシュアル…他にもあれこれ。覚えようとすると大変です。

広義のアセクシュアルの中に含まれるたくさんのマイクロラベルは別に無理して覚える必要はないのだけど、それだけ多様だという証だよね。

今回は何?

他者に性的に惹かれるアセクシュアルのマイクロラベルを紹介します。

待って。他者に性的に惹かれるの?

うん。他者に性的に惹かれる、性的魅力を感じているってことだね。

え、でも、アセクシュアルは「他者に性的に惹かれない」のがどんなラベルでも土台になると思っていたのに…。性的に惹かれるなら「アセクシュアルではない(アロセクシュアル)」ということになるんじゃないの?

いや、そうとも限らない。今回紹介するのは「他者に性的に惹かれるが、その感情を相手から返してほしいとは思わない」という性的指向なんだ。

えっと、つまり自分が一方的に性的に惹かれることはあっても、相手の方から性的にアピールされるのは嫌だ…ってこと?

まあ、だいたいそんな感じかもしれない。もちろん個人差があるけどね。

単純に考えてしまうと、「性的魅力を感じる=相手と性的なことをしたい・されたい」と思っていると真っ先に結び付けてしまうよね。

そうだね。でもそうじゃない人もいる。自分の内心では相手に性的な魅力を感じて惹かれていても、その相手と具体的な性的関係になりたくはないと思う人もいるんだよ。

なるほどね。
リスセクシュアル? リソセクシュアル?

あ、そうだ、この「他者に性的に惹かれるが、その感情を相手から返してほしいとは思わない」という性的指向は何て呼ばれているの?

呼び方が複数あるのだけど、ひとつは「リスセクシュアル(リスセクシャル)」、英語では「lithsexual」と書く。もうひとつは「リソセクシュアル(リソセクシャル)」、英語では「lithosexual」と書くね。

おお…なんか呼び方が複数あるんだね。

うん。でも基本は同じ意味だから、好きなように使っていいよ。英語圏でもあまり呼び方は統一されていない感じのようだし。

この「lith / litho」ってどういう意味なの?

それは「石」という意味があるよ。例えば、石板のことを「リトグラフ(lithograph)」と呼ぶでしょう? それと同様だね。

英語の勉強にもなるね。

「リスセクシュアル」と「リソセクシュアル」の2つを紹介したけど、他にも表記の仕方はあって、例を挙げると「リスロセクシュアル(リスロセクシャル / lithrosexual)」と書く場合もある。

微妙に違うね。

あと「アコイセクシュアル(アコイセクシャル / akoisexual)」という呼び方もあるよ。

それも同じ意味なの?

そう、今はね。でも言葉というのは時代とともに意味も変化していくものだから、将来的にどうなるかはわからないけどね。
性嫌悪との関係

「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の人は性的関係を求めないんだよね。じゃあ、恋愛関係になることはあるの?

それはありうるね。恋愛感情はあるけど恋愛関係を求めない場合は「リスロマンティック / リソロマンティック」と言えるけど。

自分が「リスセクシュアル / リソセクシュアル」だとどうやったら判断できるかな?

そうだね。「あの人のことはセクシーだと思うし、好きだけど、性的に迫られると不快感が…」とか「性的魅力は実感できるけど、自分自身が性的関係になるのは受け入れられない」とか、そういう気持ちになるなら、「リスセクシュアル / リソセクシュアル」かもしれないね。

それって「性嫌悪」があるからなの?

う~ん、そこはちょっとセンシティブな話だよね。念のために言っておくと、アセクシュアル・スペクトラムを判断するうえで性嫌悪は指標にはならない。

でもこの「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の状態は表面的には性嫌悪的なものとそう変わらないものとして認識されることが多いと思う。実際そう考えている当事者も少なくないだろうね。

「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の人は自分自身が性的感情を持つぶんにはいいけど、それが他者との性的な接触となってくると嫌になるということだよね。

そうだね。そういう意味では完全な性嫌悪ともまたちょっと違うのだろうけど。

じゃあ「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の人は性嫌悪があるからそういう状態だと納得すればいいのかな?

それをどう認識するかは個人の判断だからあまり外野からあれこれは言えない。でももし「性的暴行・性的イジメ・セクハラ」などを経験してそれが原因でそういう性嫌悪を抱えており、かつ「今は他者と性的関係を持ちたくない・持つことはできない」としても、「いつかは持ってみたい or この状態が本心で望んだものではなく苦痛である」と感じるなら、単純に性的指向であると片付けるべきではないかもしれないね。

というと?

もしあなたがさっき言ったような状態に当てはまるならば、「リスセクシュアル / リソセクシュアル」や「アセクシュアル」のコミュニティにいるよりも、性暴力被害者のために特化した相談場所などのコミュニティに頼るほうが自分に有効なことも多いからね。

そういうコミュニティや連絡先もあるんだね。

マイノリティな性的指向のラベルは本来は肯定感を得るためにあるものだけど、肯定感を得る方法は何もそれひとつだけじゃない。あなた自身の経験にあった肯定感を得る方法が必ずある。あなた自身は一切何も悪くない。自分の幸せのためにできることを素直に考えていいからね。
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編集部コメント
ここで説明しているのは「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の一般的な定義です。当事者個人で実際の細部は異なるので、その人の意見を尊重しましょう(失礼に問い詰めないように)。
「リスセクシュアル / リソセクシュアル」の人が抱えがちな性嫌悪に関して、自身の性的暴行・性的イジメ・セクハラなどの被害経験から苦痛を感じている場合は、以下の専門の相談先に頼るのもひとつの手段です。
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