恋愛をしたり、子どもをつくることは生物学的に自然なことですか？

そうだね。それは日常にありふれているね。

恋愛をしない、子どもを妊娠しない・産まない…ってこと？

うん。それもそうだね。他者に性的に惹かれない「アセクシュアル（アセクシャル）」や、他者に恋愛的に惹かれない「アロマンティック」の人もいるし、別にアセクシュアルやアロマンティックではなくても、恋愛をしない・子どもを持たないということは変な話じゃないよ。

う～ん、残念ながらそういう発言をする人もいるね…。

別に不自然というわけでもないけど、でも自然だと言って正当化することもできないよ。

あれは子どもを作って育てている個体だけをピックアップして番組を構成しているからであって、実際に全ての自然界の動物の個体が繁殖しているわけではないんだよ。

そもそも動物が恋愛をしているのかはわからない。恋愛という概念は人間社会が生み出したものなので、安易に動物には適用できないよ。

そう、私たち人間はどうしても動物や自然を人間の価値観に重ねて見てしまうけど、生き物はそんな単純ではないよ。

できないよ。なぜならそれは「人権」の問題だから。

「人権」というのは人が当たり前に持っている権利のこと。

うん、それもわかる。でも権利はとても大事なことで、みんなの生活や幸せに関わる話なので絶対に理解しておくといいよ。

例えば、恋愛をするかしないか、もしくはどんな相手と恋愛をするかしないか…それを自分で選ぶ権利がある。

それに、子どもを妊娠するかしないか、産むか産まないか…それを自分で選ぶ権利もある。

これは「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス／ライツ」と言って、英語で「Sexual and Reproductive Health and Rights」と書くので、頭文字をとって「SRHR」と表記したりするよ。

ううん。そんなことはない。権利はみんなに等しく与えられる。あなたがこの世に生まれたらその権利を享受することができる。それが「人権」なんだ。

そうなんだよ。この「SRHR」という権利は、国連でも解説されている世界的に認められた人権だよ。

そのとおり。それは権利の侵害になるからね。

うん。社会や政治はその人々の権利を守る義務がある。

残念ながら完全に権利が守られているとは言えない側面もあるね。だから改善を求めていかないといけない。

そうやって権利を求める声を封じ込めようとする人たちの中には「生物学的」「自然」という言葉を悪用するケースもある。

そうなんだ。でもそれはズルいやりかたであり、間違っているので気にしなくていいよ。

権利を直接否定はできないから、そういう「生物学的」や「自然」という言葉を駆使して論点をずらし、相手を誘導しようとするんだよね。

だから「性」や「恋愛」または「出産」にまつわる人間の生き方の議論の中で、この「生物学的」「自然」という言葉が飛び出して来たら、それは注意だね。「種の保存」なんて表現で正当化しようとする人もいるけど。

話を戻すけど、恋愛をするしないも、子どもを産む産まないも、全部は「権利」の話だ。あなたが決めていい。

もちろん逆に恋愛をしたり、子どもを作っても、責められる理由はない。何度も言うけど、これは個人の権利だから。個人で自分の選択をできることが大切で、社会はそれを尊重しないといけないよ。