- Q自分がアセクシュアル(アセクシャル)やアロマンティックであるかを診断テストで判断できますか?
- A
いいえ。正確に判断することはできません。あくまで参考程度に考えてください。
診断テストは使えるの?
セクシャリティの「診断テスト」を使ったことありますか?
いくつかの質問に答えると、自分に当てはまるジェンダーや性的指向・恋愛的指向を表示してくれるやつだね。
最近は診断テストのサイトやアプリもあって、とても気軽に試せるんですよね。やったことある人も案外と多いと思います。
気軽さで言えば一番だろうからね。
でもこういう「診断テスト」ってアテにしていいんですか? 正しいのかな? アセクシュアルやアロマンティックかどうかもわかる?
う~ん、そもそもの話だけど、ジェンダーも性的指向も「診断」することはできないんだよね。
そうなの? 詳しい人なら診断できるんじゃないの?
まず「診断」というのは本来は医学の世界で使われる用語であり、医学的根拠に基づいて専門的に判断する行為を指す。
うんうん。
でもジェンダーや性的指向などは医学に基づくものではないから、根本的に診断できるものじゃないんだ。
じゃあ、世の中にある「診断テスト」って何に基づいて診断をしているの?
あくまで一般的に挙げられているジェンダーや性的指向などのラベルの定義に当てはまるかどうかを機械的に判断しているだけ。仕分け作業みたいなものだね。
それでもいいんじゃない? 定義に当てはまるってことだし…。
でも性自認や性的指向などのラベルって人をカテゴライズするためにあるわけじゃない。本質的にはその人を肯定して前向きにさせる、エンパワーメントを与えるために作られたものだからね。その時点でラベルの使い方として主旨から外れていると思うよ。
そっか、自分の気持ちを置き去りにして、勝手に分類されてもね…。
まあ、診断テストの中には「これは医学的なものではない」「100%正しいわけではない」と注意書きをしているものもあるけど、責任は大きいと思う。他人の性自認や性的指向などをハッキリとジャッジしてしまうというのは…。私は、責任をとれないなら「診断テスト」なんてむやみに提供すべきではないと思っているけど…。
考えるきっかけとして
じゃあ、診断テストなんて使うべきではないんだね…。
いや、そうとも言っていない。診断テストを過信するのは良くないけど、考えるキッカケにするのはいいと思うよ。
考えるキッカケ?
診断テストをするということは、もしかしたら性的指向などについて悩んでいるのかもしれない。もしくは興味があって知りたいと思ったのかもしれない。その気持ちは大切だ。
うん、そうだね。
診断テストは情報に触れる最初の入り口にはいいんじゃないかな。その後に、他の専門的なサイトや本を見たりして、より知識を深めるといいよ。
あくまで入り口にあるゲートみたいなものだね。
例えば「グレーセクシュアルって診断されたけど、これって詳しくはどういう意味なのかな?」と思ったら、さらに調べる。するとより具体的な情報が出てくる。そうやって深掘りしていくのも手だね。
何も手がかりがないよりはマシだね。
大事なのは診断テストの結果を信じすぎないこと。「私ってデミセクシュアルだったのか、じゃあこれからどうすればいいんだ!」とか「アセクシュアルだと思っていたのにアセクシュアルと診断されない!」とか、そんなふうにパニックになる必要はないよ。
正確性はないもんね。
自分の性自認や性的指向などを判断するのは「診断テスト」ではなく「あなた自身」だよ。焦らずゆっくりと考えればいい。
診断テストの注意点 1:強制してはいけない
ここからはもうちょっと具体的な診断テストの注意点を説明したいと思います。
「診断を過信しないこと」以外の注意点だね。
まず絶対に気を付けるべきことは「診断テストを他人に強制しないこと」です。
友達とかに「一緒に診断テストをしようよ~」って声をかけるとか?
うん。なぜダメなのかというと、性自認や性的指向などはその人の最もプライベートなことのひとつなので、安易に他人に明かしたくないと思っている人もいるし、他人に明かさないにしても自分でも今は知りたくないと思っている人もいるんだ。
個人のことだからね。
だからどんなにフレンドリーな誘いでも診断テストを他人に強制することはしてはいけない。このあたりは診断テストのサイトの目立つところにデカデカと注意表示してほしいくらいだね。
診断テストをやるなら自分ひとりでやろうね。
診断テストの注意点 2:公表は慎重に
次の注意点としては、診断テストは基本的に自分でやって自分で結果を確認して終わりだけど、その結果をSNSなどで簡単にシェアも今の時代はできる。でも結果の公表は慎重に考えよう。
その理由は?
オンライン上でのカミングアウトは、リアルでのカミングアウトよりもリスクは低いとはいえ、トラブルがないわけではない。嫌な目に遭うこともある。ましてや診断テストをしたばかりの人は知識も経験も浅いのでそのへんの怖さを知らない場合もあるからね。
トラブルは嫌だよね。
絶対に結果を公表してはいけないとまでは言わないけど、慎重に考えていいと思う。公表するメリット自体はそんなにないし…。
公表は慎重に…だね。
あとこのケースはレアかもしれないけど、診断テストの中には診断のためと言って個人情報を入力させようとするものもあるかもしれない。これは個人情報の入手を目的とした詐欺の可能性が高いのでそんな診断テストはすぐに利用をやめよう。
性的指向などは診断に、本名や住所、メールアドレスなどの情報は絶対に要らないもんね。
また診断テストの結果が外部に流出するなどのトラブルも発生することもあり得る。これは自己責任になってしまうけど、利用はじゅうぶんに注意してね。
診断テストをしなくても自分の性的指向などを判断することはできるんだもんね。
そう。アセクシュアルやアロマンティックでも同じだけど、大切なのは自分と向き合う時間を作ることだよ。一歩一歩じっくりでいいんです。
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編集部コメント
アセクシュアルやアロマンティックといったAスペクトラムを含めた性的指向や恋愛的指向、さらには性自認のジェンダーは「診断テスト」で正確に判断することはできません。判断できるのは「あなた自身」です。「AセクAロマ部」ではそのあなたの考える過程に寄り添って情報提供などをしています。