アセクシュアル（アセクシャル）の人はキスができないのですか？ キスが嫌いですか？

キス…口づけだね。キスにもいろいろあるけど、互いの口と口を重ねる行為は愛の証と世間では言われているね。

うう～ん…そう言いきってしまうのはちょっと誤解があるかな。

結論から言ってしまうと、キスをしないアセクシュアルの人ももちろんいる。でもキスをするアセクシュアルの人もいるよ。

そして、ここが大事だけど、キスをしないからってその人がアセクシュアルであると判断できるわけじゃない。

そうじゃないんだよ。キスはあくまで行動のひとつ。それを好むかどうか、できるできないかは人それぞれだね。

うん、いるよ。そもそもキスはロマンチックなものだと思っているんじゃない？

いや、そうでもないんだよ。ある研究では、ロマンチックなキスが一般的であるのは世界の民族的文化のうち約46％だったという結果もある。

まあ、少なくともその文化にはないってことだね。

世界で勢力の強い欧米文化の多くが、キスをロマンチックとみなすので、全ての世界がそうなんだと思い込みやすいけど、違うんだよね。

同じ文化や国でもキスの意味が異なることは普通にあるよ。キスが性的な意味もあれば、恋愛的な意味もあったり、逆に性的でも恋愛的でもないけど愛情表現として行うこともある。赤ちゃん相手とかね。

キスを挨拶でするときもあれば、感謝のしるしにすることもあるし、祝福や祈りのためにキスをすることもある。

どういうかたちであれ、キスをするときは相手の同意をとることは大切だよ。これは性的指向だけの問題じゃない。もしかしたら文化的に失礼かもしれないし…。

話をアセクシュアルの件に戻すけど、もう一度言うと、アセクシュアル当事者でもキスに対する考え方は人それぞれだよ。これは他者に恋愛的に惹かれないアロマンティックの当事者でも同じことだけど。

その二択だけでなく、例えば「あいさつ程度の軽いキスならいい」とか、「口は嫌だけど、おでこならいい」とか、そういうこともある。

アセクシュアルは性的指向だけど、性的指向というのは本来は言動や経験でカテゴライズされるものじゃないんだ。「キスをしない」から「アセクシュアル」ってことにされる…というものじゃない。

そう。自分の中で「自分はどういうアイデンティティがしっくりくるんだろう」と考えた結果の話だからね。

うん。別に大好きな人だからってキスするのは当たり前ってことではないからね。そういう気分じゃないときもあるし、キス以外の愛情表現もあるでしょう？

もし親密に付き合う人ができたら、自分と相手のキスに対する認識を共有するといいよ。お互いにギクシャクしないためにも。

そのキスの意味を決めるのは、まずはあなたと相手の自由だからね。