アセクシュアル・アロマンティックの人は理想像が高いだけですか？ 選り好みしているのですか？

世の中にはカレシやカノジョが欲しいのになかなか恋人ができなくてモヤモヤしている人もいるよね。

その一方で、恋人が簡単にできる人もいて、もう何人とも付き合っていたりもするね。

そんな恋人ができないことの理由として世間ではなんて言ったりする？

うんうん。

それはありがちだね。

残念ながらそういう人もいるね。

そうだね。恋愛は自分の願望を一方的に叶えるためのものじゃない。異性を相手にするにしても、同性を相手にするにしても、互いの同意によって関係を築くものなのは基本だね。

で、ここからが本題なのだけど、アセクシュアルやアロマンティックの人に対して「理想像が高いだけでしょ？」とか「選り好みしているんじゃないの？」と言ってくる人がいるんだよね。

悲しいことにそういう発言を浴びせられるアセクシュアルやアロマンティックの当事者は少なくないよ。

うん。アセクシュアルの人は他者に性的に惹かれない。アロマンティックの人は他者に恋愛的に惹かれない。これはそういう性的指向・恋愛的指向なのであって、相手に厳しい条件を求めた結果だからではないよ。

アセクシュアルやアロマンティックの存在を想定してこなかった人にとって、他人と性的・恋愛的関係を持つことに関する条件として思いつくのはそういう自由に好みとして設定できるような項目だけなんだろうね。

でもそれ以前に人には性的指向や恋愛的指向というものがある。同性愛者の人にいくら異性を紹介しても意味はない。そして無性愛者だったら異性であろうと同性であろうと意味はない。この性的指向や恋愛的指向は自分で変更したりはできないものだ。妥協するとかそういう概念ではない。それは忘れてはいけないよね。

アセクシュアルやアロマンティックの人にとって「理想像が高いだけでしょ？」とか「選り好みしているんじゃないの？」と言われるのはとても不愉快なことだよ。

もしかしたらそういう発言をした人は親切なアドバイスのつもりだったのかもしれない。でもその助言のつもりの言葉でも、アセクシュアルやアロマンティックの人にとっては偏見もしくは差別的発言にしか聞こえない。

詳細はわからないにしても、少なくとも相手の気持ちは受け止めてあげるべきじゃないかな。「そうなんだね」と。たったそれだけでいいと思うよ。

まずはともかくあなたが悪いわけではない。自分の性的指向や恋愛的指向を他人にどう言われようとも堂々としていていいから、大丈夫だよ。

この手の発言による不本意に相手を傷つけてしまう行為の多くは、世の中には多様な性的指向や恋愛的指向があるという事実を想定しなかったことで発生するものばかりだ。逆に言えば想定しておけば大半は避けられるので、恋愛などに関する話題をするときは常に意識しておこうね。

ただ、アセクシュアルやアロマンティックの人でも性的関係や恋愛的関係は持たないにしても、他の人間関係を持つことは当然ある。

そう。そしてその他の人間関係についてはアセクシュアルやアロマンティックの人でもそれはもちろん好みとかがあって当然なので、そこは区別して理解してね。

あくまで性的関係や恋愛的関係の話に関することだけです。まあ、でもその他の人間関係についてトークする際でも相手を不用意に傷つけないように発言にはお互いに気を付けてね。言葉は刃物にもなるものだから。