アセクシュアル・アロマンティックの主人公を描く映画『そばかす』が2022年12月から公開。制作者から当事者を尊重するコメントも…

アセクシュアル（アセクシャル）やアロマンティックを描いた映像作品の表象が2022年は日本のみならず世界中で目立っています。2022年の終わりとなる12月も、アセクシュアル・アロマンティックの主人公を描く新しい日本映画が公開されます。

映画『そばかす』の劇場公開
制作者のコメント
映画はどこでどうやって観れる？

映画『そばかす』の劇場公開

2022年12月16日、日本の一部の劇場で映画『そばかす』が公開されます。

この映画は、他人に恋愛感情を抱かない30歳の蘇畑佳純という女性が周囲と向き合いながら自分自身を見つめる姿を描いた物語です。

『そばかす』のあらすじは公式サイトでは以下のように説明しています。

私・蘇畑佳純(そばた・かすみ)、30歳。
チェリストになる夢を諦めて実家にもどってはや数年。
コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごしている。
妹は結婚して妊娠中。救急救命士の父は鬱気味で休職中。
バツ３の祖母は思ったことをなんでも口にして妹と口喧嘩が絶えない。
そして母は、私に恋人がいないことを嘆き、
勝手にお見合いをセッティングする。

私は恋愛したいと言う気持ちが湧かない。
だからって寂しくないし、ひとりでも十分幸せだ。
でも、周りはそれを信じてくれない。

恋する気持ちは知らないけど、ひとりぼっちじゃない。
大変なこともあるけれど、きっと、ずっと、大丈夫。
進め、自分。
公式サイト

『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けた「メ〜テレ」と「制作会社ダブ」がタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズ「(not) HEROINE movies」の一作であり、第1弾の『わたし達はおとな』、第2弾の『よだかの片想い』に続く第3弾がこの『そばかす』です。

主演は『ドライブ・マイ・カー』で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した「三浦透子」。共演するのは、元AKB48のメンバーで今は俳優として多数の活躍をしている「前田敦子」。

監督は『僕の好きな女の子』の「玉田真也」。企画と脚本は同性愛者（ゲイ）の男性2人の関係性を丁寧に描いて好評を博した『his』の企画・脚本を手がけた「アサダアツシ」です。

制作者のコメント

映画『そばかす』の公式サイト内には言及がありませんが、この主人公は「アセクシュアル・アロマンティック」であることが製作者によって明言されています。

本作の企画・脚本を手がけた「アサダアツシ」氏も以下のように自身のSNSでコメントしています。

2022年は、1月10日よりNHK総合で全8話にわたって放送されたドラマ『恋せぬふたり』がアセクシュアル・アロマンティック（アロマアセク）の男女の共同生活を描いた物語で、発表から放送中も大きな話題となりました。

今回の『そばかす』は映画であり、公開規模も少ないので、鑑賞するのに少しハードルがあるかもしれませんが、当事者にとっても注目の一作になると思われます。

もちろん実際に映画を観てどんな感想になるのかは人それぞれです。「面白かった」「感動した」という声もあれば、「私は合わなかった」という人もいるでしょう。アセクシュアルやアロマンティックを描いた作品を当事者なら必ず楽しまないといけないというわけではありません。どういう感想を持ってもあなた自身のアイデンティティは変わりません。

それでも鑑賞してみたいと思った人は映画館に足を運んでみるのもいいでしょう。