アセクシュアル（アセクシャル）の人は性風俗産業を嫌っているのですか？ セックスワーカー差別的なのですか？

性風俗…いわゆる性的なサービスによって性的満足を与えるような産業だね。実際はかなりいろいろな種類があって、そのサービス形態も多様だけど。

セックスワーカーというのは、主に自分の身体などで性的なサービスを提供することを仕事にしている労働者を指すね。性風俗でその身を使って働いている人の多くもセックスワーカーだね。

もちろん個人の好き嫌いはあると思うけど、アセクシュアルだからってみんなが性風俗が嫌いというわけではないよ。

そう、あくまで他者に性的に惹かれない、性的魅力を感じないというだけだから、性風俗が嫌いかどうかは関係ない。それは性的指向ではなくて主義や思想の話になってしまうから。

知っていてほしいのは、性風俗やセックスワーカーというものは長らく差別の対象になってきた歴史があるということ。世界最大の国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」もセックスワーカーは人権侵害のリスクに晒されていると警鐘を鳴らしているよ。

アセクシュアルは他者に性的に惹かれないし、中には性嫌悪を抱く人もいる。そのせいか、アセクシュアルはセックスワーカー差別主義的な思想と同一だと誤解されることもある。でもそれらは全く違う、別物だということはハッキリ言えるよ。

アセクシュアルの人の中にはアセクシュアルではない人と同じように、セックスワーカーへの差別的な主張をする人もいるかもしれない。でもアセクシュアルという性的指向はその差別を肯定するものではありません。

そういう認識が強いのもわかるし、確かにアセクシュアルの人の多くは性風俗とは全く無縁で過ごしているかもしれないけど…。でもそうとも限らない。

うん。そうだね。

それは個人でいろいろな理由があると思う。まず性風俗とひとくちに言ってもさっきも言ったように色んなサービス形態があるからね。直接的な性行為をともわない、性的なパフォーマンスを見るだけのものもあるし…。

また、親密な人や知り合いの人との性行為と、赤の他人（セックスワーカー）との性行為…この2つを全くの別物として切り分けて考えている人もいるよ。

そういうことになるね。こればかりは個人の考え方しだいだけどね。

あと、アセクシュアル当事者が利用するわけではないのだけど、アセクシュアルではないパートナーがいるアセクシュアルの人は、そのパートナーと性行為ができない代わりに、パートナーに性風俗を利用してもらって性的満足を得てもらい、それで関係を維持する…そういう人もいる。

以上で説明したのもまだ一例で他にもアセクシュアルの性風俗利用のケースはいっぱいあると思う。要するにアセクシュアルだから性風俗とは無関係で興味ゼロだ…というわけではない。それだけは覚えてほしいね。

それに、性風俗を利用するだけじゃない、セックスワーカーとして働いているアセクシュアルの人もいるよ。

基本的にはそうだね。いちいち自分がアセクシュアルだと公表しているとは限らないけどね。

別にセックスワーカーが仕事するうえでお客さんに性的に惹かれる必要はないと思うし、さっきも言ったけどさまざまなサービス形態もあるしね。

そういうアセクシュアルのセックスワーカーの人もいるだろうね。あくまで仕事として行う性行為であればOKだということだね。

セックスワーカーの権利を議論するとき、どうしてもそのテーマの性質上、アロセクシュアルの人（アセクシュアルではない人）だけで議論が進められがちだったりする。だから「性欲はみんなにあるものだ」とかそういうアロノーマティビティな前提になってしまったり…。

そう、アセクシュアルのことも忘れないでほしい。そして性風俗やセックスワーカーにアセクシュアルの人も多様に関わっているという事実は、このテーマがそんなに単純じゃないことを示すものになると思うよ。

アセクシュアルと性風俗＆セックスワーカーの関係が議題にあがることはまだまだ滅多にないので、今後も増えていくといいなと願ってます。