アセクシュアル（アセクシャル）でも膣は濡れますか？ 濡れる？ 濡れない？

どうぞどうぞ、何でも気にせずいいですよ。

はいはい。たいていは女性の話で、膣の部分を指して「濡れる」と表現しますね。

うん、なるほど。そういう質問は実はよくあるよ。だから全然変な疑問じゃないです。

そうなんだよね。性行為時に膣が濡れなかったとき、「あれ、私ってアセクシュアルってやつなのかな？」とか「私の彼女はアセクシュアルなんじゃないか」と考える人はいます。

最初に答えを簡潔に言ってしまうと、アセクシュアルの人でも「濡れる」ということはあります。逆に濡れなかったからといってアセクシュアルであるとは限らないよ。

もう少し具体的に説明していきましょうね。まずそもそも「濡れる」っていうのはどういう現象なのか。この話からですね。

一般的に膣は濡れるような仕組みを備えています。この膣を濡らす液体は「膣分泌液」といい、スラングでは「愛液」なんて呼ばれるものです。

性行為時にペニスが挿入しやすくなるためというのはよく知られているけど、それだけでなく膣を液で覆うことで保護し、細菌などからも守ってくれているよ。

そうなんです。じゃあ、どうやってこの膣分泌液がでるのかというと、最初に膣分泌液は血液から作られます。

そう。血流が流れ込んできて、腟壁周辺の毛細血管が広がると、膣分泌液の準備がOKとなります。次にホルモンが重要です。ホルモンが分泌されないと血流も連動しません。

よく巷では膣を触って刺激する、「愛撫」とスラングでは言われているけど、それをすれば膣は濡れるものだと思われているよね。

でもそんな単純じゃないのです。膣分泌液は血管やホルモンなどが複合的に影響するよ。それにその人のストレスの状態や、年齢、その他の体調など、いろいろな要素が絡んでくるものです。

だから性行為時になかなか濡れない…という事例はわりとよくあるし、全然おかしいことではないよ。

話を戻すけど、膣が濡れないとアセクシュアルなんじゃないかという誤解は、この「濡れる」という現象の世間のイメージのせいもあるね。

どうしても「濡れる」というのは「性的に興奮している」という性的反応と同じものだと考えられやすいよね。

でも実際はそんな単純な話ではなく、「濡れる」というのは複雑な心理的かつ生理的メカニズムの結果なんだよね。

これは勃起などでも同じ話なのだけど、「性行為に関する身体的な現象の有無」で性的指向を判断できる…という誤解は結構よくみられるね。でもこれは何度も言うけど、ちょっと単純化しすぎているね。

それを踏まえて考えてもらうと視野が広がるんじゃないかなと思うよ。

全くそのとおり。性行為のときは何よりも性的同意を確認する。そのうえで、相手を尊重し、相手の今の心にも寄り添ってあげよう。性行為のテクニックひとつで誰でも気持ちよくなれるわけじゃないのだから。

「セイシル」のような性教育に特化した専門のウェブサイトもあるので、そういうものも参考にしてみてください。