- Qアセクシュアル(アセクシャル)やアロマンティックは「LGBT」に含まれますか?
- A
はい。含まれます。最近では「LGBTQ」「LGBTQIA+」などより包括的な派生語が用いられるようになっています。
「LGBT」の意味を知っている?

「LGBT」という言葉もすっかり日本に浸透した感じだね。

2021年に発表された調査結果によれば、日本での「LGBT」という言葉の認知度は80.1%だったそうだよ。

この「LGBT」には「アセクシュアル」や「アロマンティック」は含まれるのかな?

まずその疑問に答える前に「LGBT」という用語の意味を整理しようか。これが意外と正確に理解されているわけではないんだよね。

私は知ってるよ! レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとっているんだよね。

そのとおり。そこまでは知っている人は多いと思う。

あれ、他にも何かあるの?

「LGBT」という用語を、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーという4つの性的少数者の総称だと思っている人は多いでしょ?

そうだと思っていたけど…。

でもなんでわざわざ「LGBT」なんてイニシャルを集めた用語があるんだと思う? 性的少数者のことを総称したいのなら普通に「性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)」でもいいわけだよね。

言われてみればなんでだろう…。ただ漠然とオシャレな感じだからとか、そういう理由じゃきっとないんだよね…。

これを理解するには「LGBT」という言葉が誕生した歴史を学ぶ必要があるよ。
「LGBT」は平等と連帯を示すキャッチフレーズ

性的少数者の人は大昔から存在していたわけだけど、近代ではもう迫害の対象になってしまっていた。当事者の多くは隠れながらひっそり生きるしかなかった。

辛い時代だね…。

その中でひとつの転機となる大きな出来事が起きる。それが1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」での事件。警察が不当に踏み込んできたことに怒った性的少数者たちが一斉に抗議の声をあげたんだ。これは性的少数者たちが一丸となって社会に声をあげた歴史的な出来事として今も語り継がれているよ。

それから性的少数者はデモをしたりして声をあげるようになったんだね。

でもそう簡単にはいかなかった。当時は当事者団体が続々と作られていって活動していったんだけど、しだいに当事者の間で亀裂が浮き彫りになっていったんだ。

亀裂って? 喧嘩したの?

例えば、男性のゲイの人はレズビアンの人たちを女性差別することもあったし、同性愛者の人からバイセクシュアルやトランスジェンダーの人が排除されたりもした。他にも人種差別などもあったりしたんだよ。

せっかく社会を変えるために声をあげるチャンスなのに…。まとまらなかったんだね…。

そこで1980年代後半からいくつかの活動家の人が「LGBT」という用語を使うようになり始めたんだ。つまり、当事者同士で差別することはやめて互いに平等だということを分かち合い、団結しましょう…ということだね。

そっか、だから「L」「G」「B」「T」の頭文字を横に並べて平等な感じにしているんだ。

それ以降、1990年代には「LGBT」という用語は当事者の間でも広く普及して、活動するときに連帯を表すキャッチフレーズになったんだよ。

じゃあ、単なる総称ではなくて、連帯を示しているんだね。

そう、「私はLGBTの一員です」と言うということは、性的少数者同士で差別することはせず、団結します…という姿勢を示すことでもあるんだ。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの4つをごちゃっとひとまとめにしたわけではないんだよ。

「LGBT」という言葉を使うときはその歴史を忘れてはいけないね。

ちなみに「SOGI」や「SOGIE」といった用語もあるけど、これは性的指向・性自認・性表現の全般を指す言葉でマイノリティに限定しない。それに連帯の意味もない、あくまで総称だよ。だから「LGBT」の代用にはならない、別の言葉なので注意してね。
「A」も忘れてはいない

でも「LGBT」の4つの中にアセクシュアルやアロマンティックは含まれていないよね…。

この言葉が作られた当時は主要な勢力がその4つだったから、その4つの頭文字を並べたのだけど、当時からその4つ以外の性的少数者はいたよ。アセクシュアルだって1900年代初期から一緒に権利運動に言葉として並んでいたからね。その歴史は別のページで説明したけど…。

アセクシュアルやアロマンティックもその場にはいたんだね。

でも当時はまだアセクシュアルの用語の定義も曖昧だったから、団結以前に自分たちの足場がグラグラしていたんだよね。

まずはそこからだね。

アセクシュアルやアロマンティックも社会から抑圧を受けて差別の対象になってきたのは明白だから、じゅうぶんにこのセクシュアル・マイノリティの輪に入れるしね。

うん。そうだね。

「LGBT」という言葉が認知されてすぐに他の性的少数者の頭文字も加えようということになって「LGBTQ」や「LGBTQIA」といった派生語が生まれ、今はこちらの用語のほうが世界的に普及しているよ。

「Q」っていうのは何?

性的少数者全般を示す「Queer(クィア)」、自分の性的指向や性自認がわからない「Questioning(クエスチョニング)」の頭文字だね。

じゃあ「A」というのは…。

アセクシュアルやアロマンティックのことだね。あと「Agender(アジェンダー)」も該当するけど。

要するにバッチリとアセクシュアルやアロマンティックも含まれているということですね。

現在では当然のように「LGBTQ」や「LGBTQIA」としてアセクシュアルやアロマンティックも包括されて、連帯の輪に加わっている。海外ではプライド・パレードに一緒に参加して活動しているのも普通の光景になったよ。

日本はまだ「LGBT」のバージョンがよく使われる気もするね。

日本では「LGBT」の言葉が普及するのが海外と比べると遅かったからね。だからその言葉が連帯を示すという歴史も知らない人が多いんだろうね。

アセクシュアルやアロマンティックも堂々と「LGBTQ」や「LGBTQIA」の仲間です!と名乗れるね。
まだ目立っていない現状も…

ただアセクシュアルやアロマンティックのようなAスペクトラムが、他の性的少数者、とくにゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダーの主要な4つと肩を並べるほどに有名かと言えばそうではない現状もある。

そうだよね。ちょっと知名度は弱いかも…。

だから「LGBTQ」や「LGBTQIA」の中でも肩身の狭い思いをしたり、安心する居場所を感じられない人もいるのも残念ながら事実だ。これは今後改善していかないといけない。

そのためにはどうすればいいのかな?

やっぱり自分たちの存在感をアピールすることだね。そのために積極的に「LGBTQ」や「LGBTQIA」に参画していく当事者が世界にたくさんいるよ。

率先して頑張っている人のおかげだね。

あとこれも忘れはいけないことだけど、アセクシュアルやアロマンティックの人でも他の性的少数者を差別してはいけない。残念だけど差別する人はいるからね。そういう意識を持つためにも、アセクシュアルやアロマンティックの人たちが「LGBTQ」や「LGBTQIA」の連帯に関与するのはとても重要だよ。互いを知るきっかけになるからね。

レインボーな旗と、アセクシュアルやアロマンティックの旗が一緒に並ぶことは思っている以上に大きな意味があるんだね。

もっと根本的な問題としては、日本では「LGBT」という言葉が反省と連帯の歴史に基づくものであるということを意識せずに安易に用いられるケースが多発しているゆえに、「LGBT」という言葉に不快感を感じる当事者もいるのは事実だね。ゲイやレズビアンという特定の言葉を避けて「LGBT」と雑に表現するメディアがいたりね。

言葉を使う側の問題だよね。

そういう意味では日本では当事者や非当事者の間でも、連帯するという意識がまだまだ根付いていないのかもしれないね。むしろ分断の引き金になってしまいかねない逆転現象が起きているかも…。

日本でも「LGBT」という言葉が当事者のために正しく定着するといいけど…。

別に無理して「LGBT」という言葉に固執しなくてもいいのだけど、連帯の精神が無くなれば、辛い目に遭うのは性的少数者の中でもとくに弱い立場の人たちだからね。社会全体でいろいろと再考しないといけないね。
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編集部コメント
アセクシュアルやアロマンティックといったAスペクトラムは「LGBT」に含まれます。より包括していることを強調したい場合は「LGBTQ」「LGBTQ+」「LGBTQIA」といった用語を使いましょう。何よりも「LGBT」(派生用語含む)という言葉を用いる際は、その使用が適切かどうかじっくり吟味するのを忘れないでください。