アセクシュアル・アロマンティックの人が自然災害で被災するとどんな差別に直面する可能性がありますか？

そうだね。だから防災を考えることは大事だよ。個人でできることもあるし、行政にもっとしっかりやってと圧をかけたりもしないと。

うんうん。そういう避難が必要なほどの被災の際、セクシュアル・マイノリティの人たちは差別や偏見に直面することがあるんだよね。

例えば、同性のパートナーがいる人は、家族として認められず、他人扱いになってしまい、一緒に避難して身を寄せ合うことができないかもしれない。

また、避難所で性別を問いただされたり、頻繁に男女分けされたりして、トランスジェンダーやノンバイナリー（Xジェンダー）の人たちは居心地が悪い思いをすることもある。

そもそもセクシュアル・マイノリティの人たちはただでさえ差別や偏見の目で見られやすいので、不特定多数の大勢が集う避難所でリラックスするのは、ハードルが高いね。

アセクシュアルやアロマンティックの人でも被災時は差別や偏見が身に降りかかることが考えられるよ。

アセクシュアルやアロマンティックの当事者特有というほどではないのだけど、例を挙げるならまず「家族」の問題だね。

避難所というのは基本的に家族単位で一時避難生活を送ることを想定していることがほとんどだよね。

でももし家族と仲が悪かったらどうする？

アセクシュアルやアロマンティックの人など、セクシュアル・マイノリティの人たちは家族との関係性が良くない人も珍しくない。だから家族を前提とした避難は逆に苦しいこともあるんだ。

目に見えにくいのだけど、セクシュアル・マイノリティの人たちは孤立しやすさを抱えているんだよね。

「家族」の問題とも関係あるけど、次に考えられるのが健康面の問題だね。

どっちかというと、心理的なメンタル面の問題が大きいかな？ 避難生活ではストレスも溜まるし、不安もいつもより蓄積しやすいよね。

そういうとき、専門の相談員とかが配置されることもあるけど、セクシュアル・マイノリティの人たちはなかなかそうしたケアやサポートを受けづらかったりする。自身の心理的苦しさがセクシュアル・マイノリティに対する差別などと関係していても、言い出しづらいから。

要するに、被災時の避難生活というのが、どれほどセクシュアル・マイノリティを想定してくれているのかってことだね。

そう！ だから被災者支援を考える際は、日頃からセクシュアル・マイノリティの支援をしている団体などと連携してほしい。そのほうがきめ細かい対応ができるだろうから。