「エーゴセクシュアル（エーゴセクシャル / Aegosexual）」とは何ですか？ 定義は？

大雑把に言うとそんな感じだね。あくまで基本は…だけど。

それはちょっと違うんだよ。

もちろんアセクシュアルの中には、ポルノを一切楽しまず、自慰（マスターベーション / オナニー）も全くしない人もいるよ。でも全員がそうではないんだ。他者と性的関係を望まないけど、ポルノを見たり、自慰をしたり、性的空想にふけったりする人もいる。

うん。そして中には自分を「エーゴセクシュアル（エーゴセクシャル）」という性的指向として表明する人もいるんだよ。

英語では「Aegosexual」と書くよ。日本語では「イーゴセクシュアル（イーゴセクシャル）」と表記している事例もあるみたいだけど、綴りや単語の成り立ちから考えるとあまり正確ではないと思う。

まず「ego」はわかるんじゃないかな。日本語の「エゴ」、要するに「自我」や「自尊心」のことだね。この「ego」は英語では「イーゴ」と発音するんだけど…。

その「ego」に「a」をくっつけたのが「aego」だ。「a」はアセクシュアルを説明するときにも教えたけど「否定」を意味する。だから「己惚れているわけではない」って感じのニュアンスかな。

まあ、そういう世間の偏見に対抗する強い言葉として「aego」という単語は生まれたとも言えるね。なので「a」は「エイ」と発音するから、「a（エイ）＋ego（イーゴ）」で「aego（エーゴ）」になる。実際、英語圏の人は「エーゴセクシュアル」と発音しているしね。

まず2012年に「Autochorisexual」という単語を心理学者の人が考えたのだけど、当時はその言葉は性的倒錯として扱われたんだ。つまり性的指向としては認められていなかったんだね。

当然ながら性的倒錯のように扱われるのに反対する当事者は多かった。フェティシズムとして過小評価されるのにもね。

それで2014年に「Aegosexual」という言葉を考えた人がネット上に現れて、以降は「Autochorisexual」という言葉に反発する人を中心に普及していった。「Aegosexual」の方が発音も簡単だし、ネガティブな背景もないから、当事者の間では支持しやすかったんだね。

基本的にはそういうことになる。アセクシュアルのマイクロラベルということだね。グレーセクシュアルやデミセクシュアルと比べるとやや知名度は低いけど。

それはあるだろうね。ただ、単語自体が最近作られたからと言っても、エーゴセクシュアルの人たちが最近になって世の中に誕生したわけではないし、流行りというわけでもない。エーゴセクシュアルで説明されるような性的指向を持った人は昔からいた。そこは忘れないようにね。

そうかもね。エーゴセクシュアルは実際のところ、定義している範囲がかなり広いので該当する人は多そうだしね。

まず性的関係を望まない。そこは揺るがない土台だ。

ポルノや自慰をするときに性的空想（イマジネーション）を楽しむわけだけど、どう楽しむかは人それぞれなんだ。

例えば、1人称ではなく第3者的な視点で性的空想に耽るだとか。または性的行為自体ではなくそのストーリーラインや演出を楽しむという人もいるし、そこに自分だけしか想像せずに他者をイメージしないという人もいる。

さらに、性的空想の中で性行為をする相手は現実的に身近にいる人ではなく、有名人とか架空の人物とかだけに限定するという人もいる。あくまでファンタジーとしてね。

つまりエーゴセクシュアルの人は現実に存在する人間とは生身で性行為をすることはないし、そこに直結する考え方もやっぱり避けている。それが各々の性的空想に対するスタンスにも反映されているよね。

ここで説明したスタンスだけが全てではないよ。繰り返すけどエーゴセクシュアルの範囲はかなり広いからね。

うん、パートナーがいる人もいる。その場合はそのパートナーと性的行為はしないけど、脳内ではその相手との性的空想に耽るのを好む…というエーゴセクシュアルの人もいる。

この場合は「なぜ私と実際にセックスしないんだ！」と相手に反感を持たれてしまうこともありうるけど、別に嫌っているわけではない。エーゴセクシュアルという性的指向なんだよね。

とにかく「実際に他者と性行為をすること」と「性行為に関する空想やポルノを楽しむこと」は別物であるというアイデンティティもあるということ。これは覚えてほしいよね。

大丈夫。ポルノや性的空想を楽しんでいてもアセクシュアルであることはできるし、エーゴセクシュアルという言葉もあるから安心してね。