- Q性的魅力や恋愛的魅力の他にどんな魅力がありますか? アセクシュアル(アセクシャル)やアロマンティックでも他者を好きになれますか?
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性的魅力や恋愛的魅力以外にも美的魅力、感覚的魅力、プラトニックな魅力などがあります。アセクシュアルやアロマンティックでもそうした魅力によって他者を好きになることはあります。
性的魅力と恋愛的魅力

他者に性的に惹かれない「アセクシュアル」、恋愛的に惹かれない「アロマンティック」。だったらアセクシュアルでアロマンティックな人は、他者を好きになることはないの?

いやいや、そうとは限らないよ。

どうして? 性的にも恋愛的にも惹かれないのに。

まず「好きになる」というのは「魅力によって惹かれる」ということだとしよう。

うんうん。

その「魅力」というのは、「性的魅力(sexual attraction)」と「恋愛的魅力(romantic attraction)」を真っ先に思い浮かべるよね。もちろんこれらを区別しない人もいるけど。

そうですね。それに、アセクシュアルは性的魅力を感じなくて、アロマンティックは恋愛的魅力を感じない…ってことはわかります。

性的魅力は、主に性行為と結び付けられて考えられることが多いね。ぞんざいな言い方をすれば「エロい」ってやつだね。恋愛的魅力は、デートなどのロマンス的なシチュエーションに結び付けられることが普通だね。この違いに関しては個人で解釈の仕方がいろいろあるから正解はないんだけどね。

まあ、でもなんとなく言っていることは理解できますよ。

でもこの性的魅力と恋愛的魅力の2つだけなのかな?

それは…ちょっと考えたことがなかったかも…。

この2つの他にも魅力というのはいくつも考えられるんだ。

いくつも?
美的魅力

ひとつずつ説明していくね。まず「美的魅力(aesthetic attraction)」だ。

美的ってことは美しさ?

これはその人の外観を評価して惹かれることを指す。服装、髪形、顔、体つきなどだね。

でも恋愛や性行為には結びつかないんだよね?

そう、美的魅力はあくまで外観に惹かれているのであって、恋愛や性行為を望んではいない。その人の外観を眺めていたいという強い欲求だね。

あるアイドルをカッコいいなとか可愛いなと思いつつ、遠くからずっと見守っていたい…みたいな気持ちも美的魅力かな?

そうかもね。そういうとき、そんな話を他者にすると「そのアイドルに恋しているの?」とか「ヤりたいんだろ」とか言われてしまうこともあるけど、「恋愛や性的行為は望んでいない!見ていたいんだ!」と明確に言い切れるなら美的魅力の側面が濃いかもしれない。
感覚的魅力

次は「感覚的魅力(sensual attraction)」だ。これは文字だけではわからないかも。

全然わからない…。

これはその人の感覚に訴える要素に惹かれることであり、感覚というのは主に触覚や嗅覚。つまり、匂いや肌触りなどだね。

あ、そういうことね。この匂いが好きだな~ってことか。肌触りというのは?

例えば、手を握っていたい、抱きしめていたい…そういう感触のことだと一般的には言えるけど、このへんも人それぞれかな。

これも恋愛や性行為には結びつかないってことだね。

そう。感覚的な心地よさを重視して相手に惹かれるパターンです。ずっとこの人と一緒に隣り合って温もりを感じていたいとか、手を繋いで歩いているだけでいいとか、そういう感じだと思ってもらえればいいかな。あと「声が好き」というのもこっちの魅力に当てはまると思う。
プラトニックな魅力

3つ目は「プラトニックな魅力(platonic attraction)」。これはそのままの意味だね。

これはプラトニックという言葉のイメージでいいの?

そうだね。友情や親密感などの精神的な結びつきを重視して相手に惹かれることを指す。例えば「友達以上恋人未満」という言い方があるけど、プラトニックな魅力を大事にする人はそういう優劣関係はなくて、友情を何よりも特別に思っている…とかね。

友達として好き…って表現はフラれたときの定番セリフに扱われているけど、このプラトニックな魅力においてはそういう残念な結果ではないね。

好きは好きだからね。プラトニックな魅力を築いていけば、友情結婚をする人もいるだろうし、実際にそうしている人もいるよ。
オルタラスな魅力

続いて「オルタラスな魅力(alterous attraction)」。これは聞きなれない言葉だよね。

さっぱり意味が推測もできない…。

これはロマンチックな魅力とプラトニックな魅力の中間、もしくはロマンチックやプラトニックとは完全に分離されている魅力に対して使われるよ。

へぇ~、そういうのもあるのね。

精神的な結びつきという点ではプラトニックな魅力と同じだけど、友情のような親密感とは違う。そういう塩梅かな。これこそ個人でどう考えているか違うけどね。

精神面の結びつきだと感じ方はもっと多彩になりますもんね。

ロマンチックでもプラトニックでもない完全に別物であると断言する場合は「エクストラモな魅力(exteramo attraction)」という言い方をすることもあるよ。
人を好きになる魅力はいくらでもある

こんな感じで人を好きになる原動力となる魅力はいくらでもあるんだ。

あらためて整理するとなるほどなと思います。今まではこうやって分類していなくて漠然としていただけだったから。

魅力を整理することのメリットは、自分がなぜその人が好きなのかを相手に説明しやすくなるということだよね。整理していないと共通理解がないせいで誤解やすれ違いが多発することもあるし、そうやって関係性を悪化させてしまった人も少なくないのではないかな。

私は「恋愛的魅力」と「美的魅力」をあの人に感じている!だとか、「プラトニックな魅力」だけを感じている!とか、そんなふうにみんな違うということはわかっておきたいですね。

それぞれの魅力には優劣もないし、どの魅力を持つかは個人の個性です。今回はまだ取り上げていない魅力だってあるよ。

魅力は無限大だなぁ…。

別の見方をすれば、あらゆる側面で完璧に魅力的な人間はいないとも言える。「魅力的な人間になる」ということがさも正しいかのようにもてはやされるけど、完璧主義に考えずに身近な魅力を大切にしたいよね。

自分に魅力はないんだ…って思いつめないことだね。

例えば「自分は太っているから魅力的に思ってもらえない…」と劣等感を感じる人もいるかもだけど、何を魅力に思うかは人それぞれなんだよね。美的魅力以外の魅力もあるし、美的魅力でも“太っている体型”を魅力と感じる人もいるからね。

魅力を整理して学ぶと自分にちょっぴり自信がもてるね。

話を戻すけど、だからアセクシュアルやアロマンティックの人でも相手を好きになることはできるんだよね。「好き」という感情を何も恋愛や性愛に直結させなくてもいいわけだから。

アセクシュアルやアロマンティックだったとしても「人を好きになれない人間」とレッテルを貼ってはいけないし、「人を好きになれないんだ…」と劣等感に沈む必要もないんだね。

うん。別に無理して誰かを好きになる必要もないけどね。好きな人がいなくてもとくに変ではないからね。あと、今回は「魅力」の話に焦点をあてたけど、複数の人を同意のもと同時に好きになって関係を持つ「ポリアモリー」とか、「好き」のカタチはいくらでもあるよ。

「好き」は奥が深い!
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編集部コメント
他者に感じる魅力は人それぞれです。性的魅力や恋愛的魅力だけではないことを理解しておけば、人との付き合い方の可能性も広がってくるでしょう。