- Q「生物学的性別」とはどういう意味ですか? 性別は「男」と「女」の2種類だけだと思うのですが、違うのですか?
- A
一般的に「生物学的性別」という言葉で示唆されるのは、生殖器・性染色体など性別に関係してくる身体の器官や構造体、もしくは身体的な発達や機能のことです。これらは学術的には「性的特徴」と呼ばれ、典型的には「男性」と「女性」の2種類に大別されやすいです。しかし、個人によってどんな性的特徴を有するかは異なっており、実際には性別という概念は非常に複雑で多様です。
「生物学的性別」とは?

「性別」って言葉は誰でも聞いたことがあると思うけど、「生物学的性別」って言葉を最近聞いたんですよね。これって「性別」とは違うんですか?

「生物学的性別」だね。なかなか厄介な言葉なのだけど…。う~ん、そうだね。一般的に「生物学的性別」という言葉を使うときは、性別に関係してくる身体の器官や構造体、もしくは身体的な発達や機能のことを指していることが多いね。

え? 器官? 発達? 何のこと?

例えば、生殖器、性染色体、性ホルモンとか。

あ~! それはなんかわかるかも。学校で習った気がする! 男性はこうで、女性はこうで…みたいな感じで。

うん、それだね。生殖器は、外性器と内性器と生殖腺に分けて整理することが多いね。男性は、外性器として陰茎(ペニス)や陰嚢があって、内性器として精管や精嚢があって、生殖腺は精巣がある。女性は、外性器として陰核や陰唇があって、内性器として膣や子宮があり、生殖腺は卵巣がある。

保健の授業で習いました。男性は精巣で精子を作り、女性は卵巣で卵子を作るんですよね。

性染色体は男性では「XY」、女性では「XX」となる。性ホルモンは男性だと「テストステロン」で、女性だと「エストロゲン」…

男性ホルモン、女性ホルモン…って言葉も聞いたことがあります!

あと、第二次性徴もそうだね。男性は、体毛が濃く、声が低くて、筋肉質。女性は、胸が膨らみ、声が高く、そして何よりも妊娠・出産できる…

そういうのを「生物学的性別」っていうの?

学術的には「性的特徴」と呼ばれるよ。これは英語では「sexual characteristics」というのだけど。

男性と女性は性別によってこういう特徴の違いがあります…って感じの表みたいのを教科書とかで見たことがあるような…

うん。これは知っている人は多いと思う。でも実は今さっき説明したことは、あくまで単純化した話であり、実際はちょっと違うんだよね。

実際は違う? どういうこと?
典型的な性的特徴に当てはまらないこともある

わかりやすいところから話そうか。例えば、女性は「胸が膨らむ」と言っても乳房の大きさは女性でもそれぞれでみんな違うよね。

うん。当たり前だよね。

女性の中には胸が全然膨らんだ発達をしない人もいるよね。

まあ、それも個人差ですよね。

実は男性でも思春期に乳房が膨らむ人がいるんだよ。そして大人になっても胸が大きいままの人もいる。

そういう人がいるの!?

次は性ホルモンの話をしよう。実は女性でも男性ホルモンである「テストステロン」はあるのだけど、そのテストステロンの値が高くて、毛深かったり、髭を生やせるような女性もいるんだよ。

へぇ~!

生殖器の話だと、女性の見た目だけど精巣を持って生まれる人もいるし、女性だけど短い陰茎を持って生まれる人もいるし、「XY」の性染色体を含む卵巣を持っていて出産した人もいる。

ふゎ~…。なんか頭が混乱してきた…

要するに何が言いたいのかというと、「男性はこうです」「女性はこうです」という典型的な性的特徴に当てはまらない人も少なからずいるということだね。

そうなんだ。全然知らなかった…

こういうふうに男女の典型的な性的特徴に当てはまらない人を「インターセックス」と呼んだりもするんだよ。ただ、「インターセックス」ではない人であっても、その性的特徴は個人で差異がある。それが普通なんだよね。
身体の性別は思っている以上に複雑で多様

じゃあ、男性と言っても人それぞれだし、女性と言っても人それぞれなんだね。

そのとおり。性別というのは一般の人が思っている以上に、複雑で多様なんだよ。

でも世の中は性別を「男」と「女」の2種類に分けるよね。

そういうふうに性別を男女の2種類に分ける考えかたを「男女二元論」と呼んだりもするのだけど、これは宗教や文化など特定の国や集団の影響が強く反映されているよね。

うんうん。

世界には「性別を男と女の2種類」とは考えない文化もあって、一部の先住民族のコミュニティでは、男女とは異なる性別の概念が大昔からあったりするよ。

そうか…私が思っていた「性別は男と女の2つ」っていう考えかたも世界共通の事実とかではなかったんだなぁ…

「生物学的性別」の言葉を「性別は男と女の2つ」という男女二元論を前提に用いる人もいるけど、生物学ではそう単純には考えられていないよ。ましてや人間だけでなく、他の生き物の性別も含めると、性別はもっと複雑だね。雄と雌の生殖器を合わせ持つ生き物もいれば、性別を途中で切り替える生き物もいるからね。

性別は…奥が深い!

人間の現実社会では産まれたときに「あなたは男性」「あなたは女性」と振り分けられるけど、これを「出生時に割り当てられた性別」と呼んだりする。これは要するに陰茎があるかないかというすごく単純な区別なんだよね。精密な検査とかはしていない。だから人生の途中で「私はこんな性的特徴があったのか!」と気づく人もいるよ。

気づいたときはびっくりするだろうな…

でもそれはおかしいことじゃない。実際の自分の身体は思った以上に複雑だからね。脳が発達していき、世間が「あなたはこういう性別だろう」と勝手に決めつけて扱ってくる中で、「あれ?」と違和感を感じる人もいて当然だね。

「男なんだからこういう身体に違いない!」とか、「女だとこの身体の特徴があって当然でしょ!」みたいに、単純に判断してはダメだね。

こういう複雑な性別事情の中、人は成長していくにつれ、自身の性的特徴はさておくとして「自分の実感している性別」というのが自己認識として深まっていく。これがいわゆる「ジェンダー・アイデンティティ(性同一性/性自認)」なのだけど、その話はまた今度にしようね。

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編集部コメント
「生物学的性別」という言葉は誤解をともなうことも多いので、使用する際は注意が必要です。とくにトランスジェンダーやノンバイナリーなど特定のセクシュアル・マイノリティを否定するために、この「生物学的性別」という言葉が悪用される場合もあります。性的特徴は複雑で多様であるという科学的事実を前提にすると良いでしょう。
類似質問ワード
「生物学的性別は男と女だけ?」「生物学的性別は2種類のみ?」
「身体的性別とは?」
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