アセクシュアルのスーパーヒーロー
アメコミを原作としたスーパーヒーローを描いた映画やドラマなどの映像作品は今や世界中で大人気です。2021年12月にアメリカで公開され、日本でも2022年1月に劇場公開となった映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は大ヒットを記録。2022年1月25日時点で、世界で16億9000万ドル(約1918億円)の興行収入を達成し、映画史上6番目の興行収入を記録しています。この『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』もシリーズに連なるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は勢いに乗っていますが、マーベルのライバル企業である「DC」も負けていません。2022年3月11日は最新作の映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の公開も控えており、こちらも注目が高まっています。
そんな中で、LGBTQのスーパーヒーローを求める声は日に日に高まっており、少しずつですが登場し始めています。マーベルの映画『エターナルズ』ではゲイ、DCのドラマ『BATWOMAN/バットウーマン』ではレズビアンのスーパーヒーローが登場。DCのドラマ『SUPERGIRL/スーパーガール』ではトランスジェンダーのスーパーヒーローも活躍しました。
しかし、アセクシュアルやアロマンティックのスーパーヒーローは映像作品では姿を明確には現わしておらず、当事者からは待望の声がありました。
そして2022年1月、テレビドラマ初となるアセクシュアルのスーパーヒーローが登場することになりました。テレビドラマ初と書きましたが、事実上、映像作品として初です。
その記念すべき初のアセクシュアルのスーパーヒーローが映像でお披露目された作品が『レジェンド・オブ・トゥモロー』です。
『レジェンド・オブ・トゥモロー』とは?
『レジェンド・オブ・トゥモロー(DC’s Legends of Tomorrow)』はDCのドラマシリーズです。『ARROW/アロー』と『THE FLASH/フラッシュ』のスピンオフとして製作されたアローバースというシリーズに含まれています。
タイム・トラベラーのリップ・ハンターは、未来で地球に迫るかつてない危機を目撃し、その脅威を阻止するためヒーローとヴィランを集めた異色のチームを結成する…というかなり変わったテイストの物語で、さまざまなキャラクターが集う豪華な作品でもあります。
2016年にシーズン1がスタートし、2021年10月から2022年3月までにシーズン7のエピソードが各話ごとに放映・配信されていました。
エスペランサ・スプーナー・クルス
その『レジェンド・オブ・トゥモロー』でアセクシュアルのスーパーヒーローが登場することがわかったのが、シーズン7の第10話「The Fixed Point」での出来事。2022年1月26日にリリースされました。
ネタバレをしないように詳細を伏せつつ簡単に説明すると、エスペランサ・スプーナー・クルスというキャラクターが自分はアセクシュアルであるとカミングアウトするシーンが描かれたのです。エスペランサ・スプーナー・クルスはシーズン6から登場したキャラクターで、リセス・チャベスという俳優が演じています。
今回のテレビドラマ初のアセクシュアルのスーパーヒーロー登場は業界で大きな注目を集め、LGBTQメディアの「PinkNews」「Out Magazine」やコミック系メディアの「ComicBook」などが相次いで報道。SNSでも喜びの声が聞かれます。
アセクシュアル界隈にとっては歴史的な日になりました。映画やドラマなどのエンタメ作品の中で当たり前にアセクシュアルやアロマンティックのキャラクターが描かれる未来へと繋がる第1歩となるかもしれません。
『レジェンド・オブ・トゥモロー』は日本からも視聴可能です。